275.マナファウンテンにて
2日続けての竜車移動となったが、マナリーフ王国の首都である【マナファウンテン】までは問題なくたどり着けた。
今日の行動は、昨日のうちに話し合って決めており、基本的には自由行動だ。
それぞれ自分達の所属しているギルドに顔を出す必要があるし、そこで紹介状ならぬ推薦状をもらわなければならないからだ。
学校から帰ってきた後、少しだけログインをして【マナファウンテン】の転移門を登録しておく。
これで再度ログインしたときに転移門の登録から始める必要はなくなった訳である。
転移門からは各サブポータルへの転移が用意されているが、今はまだ放置でいいだろう。
とりあえず、ログアウトして夕飯の支度をしなくちゃいけないからな。
再スタート地点として転移門広場が使えるよう、転移門広場でログアウトして夕飯の準備へと向かうとしよう。
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夕飯が終わった後、寝る支度も調えてから再度ログイン。
スタート地点は前回、つまり夕食前にログアウトした転移門広場からスタートだ。
まずは転移門を使いサブポータルへと移動する。
最初の行き先にはガンナーギルドを選んだ。
ガンナーギルドで話をすると、ギルドマスターと面会することになり、その場で推薦状を書いてもらう事ができた。
『原初魔術』を覚えようとする
俺の場合、魔力量を検査しなくても十分強かったらしいのですぐに推薦状をもらう事ができた。
ガンナーギルドのマスターからは、他のギルドにも所属しているならそちらでも推薦状をもらうように、と指示を受けた。
どうも、推薦状は1つでも構わないらしいが、複数ギルドから推薦を受けた方が円滑に手続きを進められるらしい。
元々、他のギルドも回る予定だったためそこは特に反論等せずに頷いておいた。
【
ガンナーギルドでは特に今すぐ気になるアイテムなどはなかったので、販売所のアイテム更新だけを済ませてから次のギルドへと向かう。
次は調合ギルドに向かう事にした。
調合ギルドはガンナーギルドと比較すると遥かに立派な建物だった。
ギルド内に入って話を聞いてみると、マナリーフ王国では調合ギルドや錬金術ギルドの活動が盛んらしく、それに見合った規模の建物を用意しているそうな。
受付でのんびり話しをしていても仕方がないので、紹介状を見せてギルドマスターに取り次いでもらう。
幸い、ギルドマスターにはすぐ会うことができるそうだ。
調合ギルドのギルドマスターからは、新しいポーションのレシピを販売してくれるという事を聞かされた。
まだ、あまり出回っていないレシピらしく、それなりに高額ではあるが買わない手はないだろう。
それから『原初魔術』を覚えるための推薦状も用意してもらえた。
ここでも、『原初魔術』を覚えに来る
……そんなに『原初魔術』を覚えに来るプレイヤーが多いんだろうか。
ギルドマスターとの話が終わった後、購入許可をもらった新しいレシピを購入する。
購入したレシピは予想通りカラーポーションの強化版であった。
素材の薬草類も購入できたのだが、クランの販売所機能では購入できないらしいので、数を揃えるには毎日ここに通う必要がありそうだ。
フォレスタニアの調合ギルドも薬草を販売所で買えないのは同じなので、柚月と相談してサブポータルへの直接転移をできるようにしておこう。
クラン資産はかなり余っているはずだし、理由があるなら問題ないだろう。
さて、次の錬金術ギルドでギルド巡りは最後になる。
サブポータルから錬金術ギルドのそばにあるサブポータルへと転移すると、立派な建物が目の前にあった。
目の前の建物が錬金術ギルドであることは間違いないので、中に入って話を聞いてみる。
ギルド職員の話によると、錬金術ギルドの規模はマナリーフ王国が一番大きいのだそうな。
研究内容については教えてくれなかったが、他の国に比べても多岐にわたる豊富な種類の研究をしているらしい。
錬金術ギルドの成り立ちから話を始めようとしていた職員を遮り、紹介状がある事を伝えてギルドマスターに取り次いでもらう。
ここでもさほど待たずにギルドマスターと面会できるらしい。
ギルドマスターとの面会ができるまで少しの間待たせてもらい、いよいよギルドマスターとの面会である。
「さて、ようこそ、錬金薬士のトワ君。私がここのギルドのギルドマスターだ」
「初めまして。トワです。それで今日伺った件ですが……」
「説明されずともわかっているよ。まずは『原初魔術』を覚えるための推薦状だろう」
「はい。まずはそれがほしいですね」
「わかった。そちらについてはすぐに用意させるようにしよう」
「ありがとうございます。……ところで、異邦人が『原初魔術』を覚えるためにかなりの数が来ていると聞きましたけど、本当ですか?」
「うむ、事実だな。もっとも、我々のギルドに来ている異邦人は8割程度は試験をパスできるが、ギルドによっては5割未満と聞く。身の丈にあわない力など手に入れても持て余すだけだろうにな」
「耳が痛いですね。まあ、新しいスキルがほしいというのはわからないでもないですが」
「錬金術士としては、新しいものを追い求めるのを止めてはいけないだろうがな。それでも限度というものはあろうが」
「そうですね。……紹介状に書かれていたことはそれだけですか?」
「あとは、ガーゴイルの製法を教えてほしいという事だったが……ガーゴイルの製法に興味はあるかね?」
「そうですね……作る予定は今のところないですけど、製法だけは知っておきたい気がします」
「わかった。それでは案内するとしよう」
やはり、ガーゴイルの製法は別の場所で覚えることになるようだ。
ギルドマスターの部屋のさらに奥にある通路を進み、エレベーターに乗って地下へと進む。
地下何階かはわからないが地下へとたどり着くと、そこは一面ガーゴイルが並べられた部屋だった。
……動かないとはわかっていてもこれだけの数の石像が並んでいると不気味である。
「さて、ここが我々のガーゴイルの研究施設だ。……ああ、そこに並んでいる石像には触らないでくれよ。中には侵入者撃退用のガーゴイルも混じっているからな」
「……それはまた厳重な警備ですね」
「それだけ重要な研究をしているという事だよ。……さて、我々マナリーフ王国錬金術ギルドが研究しているガーゴイルはあれだな」
ギルドマスターが指さした先にあるのは、石人形ではあるが人形と言うよりもメカ、あるいはロボットと呼んだ方がいいような石像だった。
「我々の研究はガーゴイルに遠距離攻撃手段を持たせる事でな。ガンナーギルドの協力の下、かなり研究は進んでいる」
「……つまり、まだ完成ではないと?」
「一応完成はしているがな。まだまだ研究の余地は残っているのだよ。……さて、製法を記したものはこれだ。異邦人ならば問題なかろうが、この場で覚えていってくれ」
「わかりました。では拝見しますね」
マナリーフのガーゴイルの製法を確認して、マナリーフのガーゴイルも作れるようになった。
他の国のガーゴイルに比べると全てのスペックが一枚劣るが、代わりにMPを消費して遠距離攻撃ができるようになっているらしい。
……そう言えば、他の国のガーゴイルに銃を装備した場合どうなるんだろう。
「ちなみになんですけど、他の国のガーゴイルに魔力で動く銃を持たせた場合はどうなるんですか?」
「その場合も普通に銃は扱えるが、ガーゴイルは外部に発動できる魔力が弱いからな。牽制にはなっても、有効打は難しいだろう」
「……なるほど。その問題を解決しようとしてるのがここのガーゴイルなんですね」
「そう言う訳だ。さて、それではそろそろ戻ろうか」
ギルドマスターと一緒にギルドマスターの部屋まで戻り、推薦状をもらう。
これで所属する3つのギルド全てから推薦状をもらえた訳だ。
「さて、それではこれで終わりかな。……そうそう、研究都市に向かう途中に凶暴なモンスターが出る場所があるそうだ。君なら問題ないだろうが、十分に注意してくれ」
「ええ、わかりました。それでは失礼します」
「ああ、何か用事があったらまた来るといい」
こうして、俺のギルド巡りは完了した訳だ。
次は研究都市とやらに向かわなければいけないのだが、騎獣で移動するには3時間ほどかかるらしく、今から移動するのは微妙だ。
一人で考えていてもしょうがないので一度クランに戻ってみると、ユキと柚月も戻ってきていたようだ。
「あ、トワくん。こんばんは」
「こんばんは、トワ。ギルド巡りは終わった?」
「ああ、終わったよ。推薦状も用意してもらえた」
「それはよかった。……ただ、今から移動を始めるとかなり遅い時間になってしまうわよね」
「そうだな。正直に言うと、今日は移動したくないな」
「私もちょっと厳しいです」
「じゃあ、移動は明日にしましょう。明日の午後8時頃に集合って事で大丈夫かしら?」
「ああ、問題ない」
「はい、大丈夫です」
「それじゃあ決定ね。道中のボスモンスターはゴーレム系らしいけど、魔法攻撃はよく効くらしいから問題ないわよね」
「問題ないだろうな。レベルだって45らしいし」
「じゃあそう言うことで。他に何かあるかしら?」
「そうだな……薬草を仕入れに【ブリーズウッド】と【マナファウンテン】の調合ギルドに行きたいから、サブポータルへの直接転移ができるようになっていると助かるんだけど」
「了解。それじゃ、明日の昼間にでも調べて、問題なければ直接転移できるようにしておくわ」
「任せた。……他には俺からはないかな」
「私も特にはありません」
「そう、なら解散ね。私は工房に行くから用事があったら呼んでね」
「私も生産作業に入りますね。トワくんはどうするの?」
「俺は薬草の仕入れかな。それが終わったら生産作業だ」
「うん、わかった。それじゃあ、また後でね」
さて、明日の予定も決まったし、今日は生産作業だけしてもう休むか。
生産をするためにもまずは素材を買ってこないとな。
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