213.輝竜装備 2
いつもの日課、夕食後の妹との稽古やらお風呂やらを終え、寝る支度をしてから夜のログイン。
昼間はジパン観光を楽しんだので夜は生産活動に勤しむ事にする。
生産メインで活動するのでクランホームにログインし、メッセージボードやメールを確認する。
特に急ぎの要件などは入ってなかったので、薬草調達をしてマナカノンの製造依頼、あとは昼間にアカネさんからお願いもされてるしジパンで銃製造もしておくか。
一通りの作業を終えて帰ってくると2時間ぐらい経過していたので、早速ポーション作成から取りかかることにする。
ハイポーションやカラーポーションの作成にも大分慣れてきてはいるけど、まだ確実に★12を作れるには至っていない。
スキルレベルが足りてないのか、自分のリアルスキルが足りてないのか。
どちらなのかはわからないが、今はまだそう言うものと割り切って生産するしかないだろう。
こちらも1時間ほどかけ、買ってきた素材を全てポーション類とした。
次は店売り用のポーションなのだが……こちらは相変わらず、中級生産セットで作成して★8に押さえている。
柚月とも相談しているが、そろそろ★12を解禁してもいいんじゃないかとは思うのだが。
今はまだ様子見と言うことで★8を量産しよう。
……さて、店売り用のポーションを作成し終わり、時間はまだ残っている。
つまり、この空いた時間に輝竜装備を作る余裕があるわけであるが……やっぱり、イマイチ気乗りがしないな。
スキルレベルが足りていないのは間違いないわけだし、それを補うためにはスキルレベルを上げなきゃいけないけど、スキルレベルを上げるのにちょうどいい素材は輝竜素材しかないというジレンマ。
素材箱の中も確認したけど、実際万単位でまだまだ残っているから、失敗を気にせずにバンバン作ればいいのはわかっているけど、高級素材を無駄にするという感覚がイマイチ気乗りしない原因だろう。
うん、我ながら貧乏性な気がする。
……うだうだ考えても仕方が無いし、一息つきに談話室で何か飲み物でも飲むか。
「あ、トワくん。トワくんも休憩?」
「おや、トワくん。君も休憩かな?」
「うん? ユキにおっさんか。とりあえず店売りポーションまで仕上げたから一休みしようと思ってな」
「そうかね。相変わらず店売り品は★8止まりにしてるのかな?」
「ああ。そうしないと市場に並んでいるものを駆逐しかねないからな、販売数制限をつけたままでも」
「それはそれで贅沢な悩みだねぇ。おじさんはまだ、★7が精一杯だよ」
「スキルレベルってどこまで上がったんだ?」
「初級の28までは上がったね。もうしばらく頑張れば中級に到達出来そうだよ」
「それは何より。出来れば早いところ中級の壁までたどり着いて、うちの錬金アクセサリーのシェアを引き継いでほしいんだけど」
「それは構わないけど、多分一定のシェアは残ると思うけどね? 錬金アクセサリーには錬金アクセサリーの強みがあるからね」
「それはそうだが。とりあえずこの話はいいか」
「トワくん、何か飲む?」
「あー、何かジュースが飲みたいな」
「うん、わかったよ。……はい、これ」
「ありがと。……DEXが上がるジュースなんてあったんだな」
「色々ミックスジュースを試してたら偶々出来ちゃった。これから生産するなら便利だよね?」
ミックスジュースか、そんなことまで試してたのか。
ユキも色々頑張ってるんだな。
「確かに助かるな。ありがと、ユキ」
「どういたしましてだよ。私も輝竜の骨でスープを作ろうとしてるけど、なかなか上手く行かないから悩んでたところだし」
「そう言えば輝竜装備の進捗はどうなのかな?」
「全然ダメだな」
「同じく、私の方もちょっと……」
「……二人とも上級生産スキルの持ち主だよね? となると、おじさんがあれこれいじっても生産失敗にしかならないかな?」
「どうだろうな。素材は万単位で残ってるわけだし、何か作ってみたらどうだ?」
「それもそうだね。そもそも素材に手を加えられるかが疑問だけど、小さい鱗や牙を使ったボーンアクセサリーぐらい作れないか試してみるかな」
「……ああ、スキルレベルが足りないと、そもそも加工自体が出来ないんだったか」
「そうなんだよね。試しにミスリル金とかでアクセサリーを作ろうとしたけど、加工すら出来なくて失敗になったからねぇ……」
「それはご愁傷様。……共有倉庫にDEXポーションやSTRポーションを突っこんであるから、必要なら使ってくれて構わないから」
「それは助かるね。性能の低いアクセサリーでごまかそうとしても、たかが知れてるからね。今度必要そうなら使わせてもらうよ」
「ああ、好きに使ってくれ。足りなくなったら適当に補充するから」
「じゃあそうさせてもらうよ。……さて、そろそろ今日は落ちなきゃいけない時間だ。またね、二人とも」
「ああ、お疲れ様」
「おやすみなさい。おじさん」
「うん、お疲れ様。おやすみだよ」
挨拶を終えるとおっさんはログアウトしていった。
おっさん、まだまだ種族レベルとかも低いだろうし、どこかのタイミングでレベリングに行かなきゃダメかな……?
「どうかしたの、トワくん?」
「うん、ああ。おっさんの戦闘職レベルを上げるの手伝わなきゃいけないかなと思って」
「それなら大丈夫みたいだよ? さっき聞いた話だと、白狼さんにお願いして『白夜』で同じくらいのレベルの人達とレベリングしてるって言ってたから」
「そうなのか?」
「うん、昼間は種族レベルとメインジョブレベルを上げてるって言ってた」
「なるほどな。それじゃあそっちまで気を回す必要はないか」
「そうみたいだよ。そこまで迷惑をかけると悪いからね、って言ってたし」
「そんな迷惑って程でもないんだがな。……さて、俺も輝竜装備の製作に取りかかるか」
「じゃあ、私も作業に戻るかな? 次の日曜日までには仕上げなきゃいけないからね」
「それじゃあ工房に行くとするか」
「うん、行こう」
休憩を切り上げて工房へと戻る。
工房ではオッドとクロユリがせっせとアイテム作成をしていた。
さっき、ハイポーションとかを作ってた時はいなかったし、俺が休憩をしてる間に修練を始めたってところか。
「オッド、精が出るな」
「ご主人様ですかニャ。お疲れ様ですニャ」
「ああ、お疲れ。今はポーションの作成か?」
「はいですニャ。里の皆に届けるポーションを作成中ですニャ。ご主人様もポーション作成ですかニャ?」
「いや、俺は錬金の方だから気にしなくてもいいぞ」
「わかりましたですニャ。こちらをお使いの時は声をかけていただければ場所を譲りますニャ」
「わかった。でも、今日はポーション系の製作は終わってるから気にしなくていいぞ」
「そうですかニャ。では、何かありましたら声をかけてくださいですニャ」
「わかった。……そう言えば銃の作成はどうなってる?」
「そちらはもう少し錬金が上手くなったらまとめて練習しますニャ。今の腕前では今以上の品質の銃は出来ないと思いますのニャ」
「流石にもう、練習すればまともな銃は作れると思うんだがな。練習をしたくなったら声をかけてくれ。やり方をまた教えてやるから」
「わかりましたニャ。その時はお願いしますニャ」
オッドとの話を終えて錬金台の方へと向かう。
そこに合成板をセットして共有倉庫の中身を確認する。
そこには輝竜素材で作成した銃のパーツが100個単位で入っていた。
品質も★7から★9までになっている。
……どうやら、自分達の装備の練習ついでに作っているらしいな。
とりあえず、★7のハンドガン素材と輝竜の魔石を取り出してハンドガンを製造する。
出来たハンドガンは★8のイニアショット。
銃身とグリップが★7だった事を考えれば上々の滑り出しかな。
その後もひたすらハンドガンを作成する。
1時間ほどでハンドガンを100丁ほど作り終えたときには【上級錬金術】のスキルレベルがまた上昇していた。
やっぱり輝竜装備は製作難易度が高いようだ。
ポーションを山ほど作ってもまだ【上級調合術】のスキルレベルは上がってないのに、【上級錬金術】のレベルはどんどん上がって行っている。
錬金術士だし構わないんだけど。
とりあえずハンドガンは★9まで作成できるようになったので、他の銃種に手を伸ばすことにする。
次はライフルにしようか。
ライフルの銃身は★8と★9のみのようだ。
こちらも100丁分あるし、とりあえず出来る限り作って見よう。
「トワくん、そっちの調子はどう?」
ライフルをひたすら作り続けて1時間ほど、ユキが声をかけてきた。
「うーん、とりあえず素材のランク相当の銃は作れてるけど、まだまだって感じだな。ユキの方はどうなんだ?」
「私もまだまだかな。★10までは作れるようになったんだけど、そこから先がなかなか上がってくれないよ」
「俺の方は素材の品質もあるからな。★9止まりだけど、明日になればまた素材は追加されるだろうからな」
「そうなんだ。そろそろ私は寝るけどトワくんはどうするの?」
「うーん、俺はまだ起きてるかな。マナカノンとマギマグナムも作っておきたいし」
「そっか。それじゃあ先に休ませてもらうね。おやすみなさい、トワくん」
「ああ、おやすみ、ユキ」
ユキがログアウトするのを見送り、改めて手元にある輝竜装備を確認する。
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輝竜銃 イニアスナイプ ★9
白竜帝レイゴニアの素材から作られたライフル
魔力の力も持ち合わせており、その輝きを持って敵を撃つ
相手の防御を一部無効化する力を持つ
装備ボーナスDEX+60
攻撃属性:物理・光・神聖
攻撃ダメージの2%を追加貫通ダメージとして与える
ATK+245 MATK+87 DEX+60
耐久値:280/280
(イベント装備のため使用不可)
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白を基調とした細やかな装飾が施されたライフルは、それ単品でも芸術品のような気がする。
もちろん、俺にはここまで芸術的なセンスはない。
他の輝竜装備と同じようにシステム側で決められた形になるようだ。
「……これ、普通に飾りとしてほしいよな」
芸術品に興味のない俺でも思わずそう思ってしまう程度には美しい銃だった。
貫通ダメージを与えることが出来る凶悪な銃なのだが。
さて、いつまでも銃を眺めていてもしょうがない。
残りの銃2種類も作り始めないと。
俺はマナカノンの素材を取り出し、改めて銃製造を始めた。
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結局、ユキがログアウトした後も2時間ほど銃製造に費やした。
結果として出来上がった銃の性能はこれだ。
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輝竜砲 イニアカノン ★9
白竜帝レイゴニアの素材から作られたマナカノン
物理の力も持ち合わせており、その輝きを持って敵を撃つ
相手の防御を一部無効化する力を持つ
装備ボーナスINT+45
攻撃属性:物理・光・神聖
攻撃ダメージの2%を追加貫通ダメージとして与える
ATK+85 MATK+167 INT+45
耐久値:280/280
(イベント装備のため使用不可)
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輝竜砲 イニアブレイク ★8
白竜帝レイゴニアの素材から作られたマギマグナム
物理の力も持ち合わせており、その輝きを持って敵を撃つ
相手の防御を一部無効化する力を持つ
装備ボーナスINT+40
攻撃属性:物理・光・神聖
攻撃ダメージの2%を追加貫通ダメージとして与える
ATK+74 MATK+142 INT+40
耐久値:260/260
(イベント装備のため使用不可)
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マギマグナムは難易度が高いらしく★9まで到達できなかった。
マギマグナムも100丁キッチリ作っている以上、リアルスキルの問題以上にスキルレベルが足りていなさそうだ。
ともかく、まだまだ輝竜装備の作成には時間がかかりそうだと言うことを思い知らされた。
素材自体はまだまだ残っているし、明日も継続して頑張っていこう。
今日はここまでにするとして、片付けてログアウトしてしまおう。
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