82.GW5日目 ~トワの本気装備 防具編~
夜時間のログイン。
フレンドリストを見れば、『ライブラリ』全員がログイン状態なのがわかる。
「皆、どこにいるのやら。談話室あたりか?」
たまり場といえばそこしかない。
なので、俺は談話室に向かうことにした。
「おー、トワ。待ってたわよ!」
想像通りというべきか、全員が談話室に集まっていたようだ。
「悪い、遅れたか?」
「全然。そもそも時間指定まではしてなかったんだし?」
「そうじゃの。それに柚月は10分ほど前まで制作中だったからの」
「それを言うんじゃないわよ。最後の調整に手間取っただけなんだから」
「それよりも、早くトワに新しい装備渡そうよー。ボク作ってないけど」
「そうじゃの。まずは、トワ。これはわしとイリスからじゃな。銃の部品じゃ」
まず最初に、手渡されたのは数々の銃のパーツ。
拳銃用が2種計12セット、ライフル用が2種計6セット、魔導銃用が6セット。
合計24丁分の部品達だった。
全て品質★11で揃えてある。
あれ、でも……
「拳銃の部品って頼んでたっけ?」
「ついでと言った形だが頼まれていたぞ。だから作っておいたわい」
「そのかわり、エルダートレント材は全部使っちゃったからもう作れないよー」
どうやら気を利かせて作ってくれたらしい。
実際、拳銃は物理攻撃力がほしいときに使うから必要だ。
ただ、今回の武闘大会では使わないかも、と思い発注してなかっただけだ。
せっかく作ってくれたのなら、そっちも作ってしまおう。
幸い、全部の部品から銃を製造しても魔石の数は十分足りている。
あとは、どれだけの【魔石強化】に部品達が耐えられるかだけだ。
「それじゃ、そっちは終わりね。じゃあ、次は私から。お待ちかねの新防具セットよ」
柚月から渡されたのは2セットの全身分防具。
片方は青銀色に染め上げられ、もう片方は白銀色になっている。
ちなみに、どちらもつや消し処理がされている。
「この色のつや消し処理に時間がかかったのよねー」
柚月は気楽そうにそんな事を言う。
「それよりもトワくん。早く着てみてください」
「それもそうね。早く着替えてきなさい」
「着替えてこいって……別にこの場で装備変更してもいいだろう」
「わかってないわね。そこは気分の問題よ。ねえ」
「はい」
ユキも楽しげに肯定してみせる。
「……わかったよ、とりあえず工房で着替えてくるから」
「早くしなさいよー。女の子を待たせるもんじゃないわよ」
「はいはい。わかったから少し待っててくれ」
俺は足早に自分の工房へと駆け込んだ。
とりあえず青銀色の装備から着てみるか。
装備を変更しながら詳細を鑑定する。
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空狐のハーフコート ★11
空色に染め上げられたハーフコート
見た目が鮮やかなだけではなく
雷獣の皮から作られたハーフコートは
雷を防ぎ、自らが放つ雷を強める
内着として黒のドレスシャツ付き
(製作者:柚月)
装備ボーナスINT+70
AGI+60
雷属性耐性・中
雷属性強化・小
感電無効
DEF+60 MDEF+90 INT+50 AGI+60
耐久値:250/250
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空狐のレザーパンツ ★11
白色に染め上げられたレザーパンツ
見た目が鮮やかなだけではなく
雷獣の皮から作られたレザーパンツは
雷を防ぎ、自らが放つ雷を強める
(製作者:柚月)
装備ボーナスINT+60
AGI+60
雷属性耐性・中
雷属性強化・小
DEF+40 MDEF+80 INT+40 AGI+60
耐久値:250/250
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空狐の指貫グローブ ★11
黒色に染め上げられた指貫グローブ
見た目が鮮やかなだけではなく
雷獣の皮から作られた指貫グローブは
雷を防ぎ、自らが放つ雷を強める
また、滑りにくく指先の繊細な作業を邪魔しない
(製作者:柚月)
装備ボーナスINT+50
AGI+40
DEX+20
雷属性耐性・小
雷属性強化・中
感電攻撃時成功率上昇・大
DEF+20 MDEF+50 INT+30 AGI+40 DEX+20
耐久値:200/200
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空狐のハーフブーツ ★11
空色に染め上げられたハーフブーツ
見た目が鮮やかなだけではなく
雷獣の皮から作られたハーフブーツは
雷を防ぎ、自らが放つ雷を強める
(製作者:柚月)
装備ボーナスINT+50
AGI+80
雷属性耐性・小
雷属性強化・小
DEF+20 MDEF+50 INT+40 AGI+80
耐久値:250/250
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叡智のサークレット ★11
つや消しされた金色をしたサークレット
装備者の知力を高める効果が強い
また、その金属の持つ性質から
魔力に対する耐性がとても高く
自身の魔力を高める効果がある
(製作者:ドワン)
装備ボーナスINT+60
AGI+20
全属性耐性・中
魔法攻撃力強化:MATK+60 INT+60
ハードコーティング
MATK+60 DEF+10 MDEF+100 INT+120(60+60) AGI+20
耐久値:200/200
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……うん、知ってた。
さっすが『
AGIの上昇値が高いのはAGIに補正がつく雷獣素材由来のせいだろう。
INTの上昇値が高いのも品質が
しかし、雷耐性とか雷強化とか盛り過ぎだろう!
しかもサークレットの『全属性耐性・中』ってなんだ!
全属性耐性・中:全ての属性ダメージを15%カット
詳細見なければよかったかな?
雷属性だけで言えば65%カットだし。
それ抜きにしてもMDEFがめちゃくちゃ高い。
しかもそこに感電無効までついてる。
あと雷強化も合計45%とかおかしい。
サークレットの魔法攻撃力強化はまあ、いいや。
サークレット系で魔法攻撃力が上がる装備は時々出来る。
……もっとも、宝石類で装飾強化していれば、だが。
……これはもう1セットも先に鑑定しておいた方がいいかな。
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天狐のバトルコート ★11
銀色に染め上げられたバトルコート
見た目が鮮やかなだけではなく
非常に軽やかな着心地を保証する
内着として黒のドレスシャツ付き
(製作者:柚月)
装備ボーナスDEX+70
AGI+30
雷属性耐性・小
DEF+50 MDEF+60 DEX+70 AGI+30
耐久値:250/250
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天狐のスラックス ★11
白色に染め上げられたスラックス
見た目が鮮やかなだけではなく
非常に軽やかな着心地を保証する
(製作者:柚月)
装備ボーナスDEX+50
AGI+30
雷属性耐性・小
DEF+30 MDEF+60 DEX+50 AGI+30
耐久値:250/250
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天狐の指貫グローブ ★11
白色に染め上げられた指貫グローブ
見た目が鮮やかなだけではなく
非常に軽やかな着心地を保証する
また、滑りにくく指先の繊細な作業を邪魔しない
(製作者:柚月)
装備ボーナスDEX+70
AGI+20
雷属性耐性・微
DEF+15 MDEF+30 DEX+70 AGI+20
耐久値:200/200
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天狐のハーフブーツ ★11
黒色に染め上げられたハーフブーツ
見た目が鮮やかなだけではなく
非常に軽やかな着心地を保証する
(製作者:柚月)
装備ボーナスDEX+60
AGI+40
雷属性耐性・微
DEF+20 MDEF+40 DEX+60 AGI+40
耐久値:250/250
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技巧のサークレット ★11
つや消しされた金色をしたサークレット
装備者の知力を高める効果が強い
また、その金属の持つ性質から
魔力に対する耐性がとても高く
自身の魔力を高める効果がある
(製作者:ドワン)
装備ボーナスDEX+60
AGI+20
INT+10
全属性耐性・中
魔法攻撃力強化:MATK+60 INT+60
ハードコーティング
MATK+60 DEF+10 MDEF+100 DEX+60 INT+70(60+10) AGI+20
耐久値:200/200
―――――――――――――――――――――――
こっちも生産用とは思えない出来栄えだな。
最前線ではきついだろうが前線の後衛職なら十分過ぎる出来だろう。
まあ、生産用と割り切っているのか防御力は多少低めだが。
あと、こっちにも雷耐性がついてるのは雷獣素材でアップグレードしたためだろうか。
ともかく、あまり待たせるのも悪いから早く着替えて行かないと……
――――――――――――――――――――――――――――――
「おー。似合ってるじゃない。ねえ、ユキ」
「うん、とってもよく似合ってるよ!」
「ほう、ここまで印象が変わるか」
「かっこいいねートワ」
戻ってきた俺は1人ファッションショー(2着のみ)状態にされていた。
うん、このアバターにはよく似合ってると自分でも思う。
そしてここはファンタジーの世界だ。
こういう格好の方がなじむだろう。
だとしても……
「なあ、そろそろ終わりにしていいか?」
「もうちょっと楽しませなさいよ」
「もう20回ぐらい装備変更してるんだが?」
「なによ、ここ数日それを作るために全精力を注いだんだから、いいでしょう少しぐらい」
「そのたびに装備変更しなきゃいけない、俺の苦労も考えてくれ」
「もう、仕方が無いわね」
そう言いながら柚月はインベントリから1つのスキルブックを取り出し、差し出してきた。
「……これは?」
「【アーマーチェンジ】のスキルブックよ」
「【アーマーチェンジ】?」
「何でも王都で売っているレアスキルブックらしいわ。レアっていっても入荷数が少ないんじゃなくて、すぐに売り切れるかららしいけど」
「何で王都で売っているスキルブックを柚月が?」
「ああ、教授からの装備更新祝いだって」
「教授から? 俺に?」
「正確には私達全員ね。もっともわたしら着た切り雀だけど」
「そのスキルの効果は?」
「事前に決めておいた防具セットをその場で切り替える、ってものよ」
「なんだそりゃ。何でそんなスキルブックが売り切れるんだ?」
「それはもう、変身ヒーローごっこや魔法少女ごっこに最適だからよ。あとさっきみたいなファッションショーや、あとは演劇とかの早着替えにも使ってるらしいわよ」
「……なるほどな、ネタスキルって訳か」
「そいうこと。ああ、でもただのネタスキルって訳でもなくて、戦闘中でも関係なく防具だけでも装備変更できるから、複数属性の敵を相手にするときとか、装備の特性を変えたりするときに使われてるって」
「……むしろ、そっちが本命じゃないか?」
「まあね。でも、お遊び向けスキルって認識の方が強いみたいよ?」
なんだかな。
遊び方は人それぞれだけど。
「ともかくこれはあなたの分よ。早く使っちゃいなさい」
「はいはい。それで装備を登録すればいいわけだな」
「そう言うこと。あ、それからそのスキル、スキルレベルが上がる度にセット枠が拡張されるって。最大10枠」
「そんなに使う必要はないな」
ともかくスキルブックは使うしかないだろう。
スキルブックを使用して【アーマーチェンジ】を取得。
何々……仮想ウィンドウから装備セットを作成してセット名を登録、使う時はそのセット名をいえばいいのか。
……確かにこれはごっこ遊びが流行りそうだ。
「とりあえず登録したぞ。……わかってるって『アーマーチェンジ天狐』」
キーワードをいうと一瞬体が光り、装備が変更されていた。
「何よ、使い方が面白くないわね。もうちょっと面白い変え方しなさいよ」
「別にいいだろそんな事、『アーマーチェンジ空狐』っと」
また、空狐衣装に戻る。
「まあ、男の変身シーンなんて見てても面白くはないわね。女性が使っても演出は一緒だけど」
「ならもういいだろ。……それで、今日は解散か?」
「何言ってるの。装備がもう1つ残っているでしょう」
「もう1つ?」
「もちろん、あなたの武器よ」
つまり、これから俺の銃を作るところまでがセットと。
まあ、いいけどね。
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