74.GW3日目 ~聖霊石 4 ~

 GWゴールデンウィーク3日目。

 今日は振替休日のため休みだ。

 ……正確に言えば、明日と明後日は平日だが学校は休みとなっている。

 うちの学校はGW中の平日も振り替えで休みにしている。

 その代わりに土曜日に学校に行かなければならないが。


 閑話休題それはさておき


 昨日は結局、鉱山ダンジョンから帰還したときにはいい時間だったため、そのまま解散となった。


 もちろんステータスも確認していない。

 スキルが上限値に到達したシステムメッセージは、複数受け取ったがとりあえずそのままにしてある。


 それに聖霊石の欠片も聖霊石にしてしまいたい。


「はてさて、どれから手をつけたものか……」


 俺は朝食の準備をしながら、そんな事を考えていた。



 ――――――――――――――――――――――――――――――



 朝食や午前中の用事を全て片付けてログイン。

 時刻は午前10時過ぎ。


 時間を考えると、あまりゆっくりはしていられない。


「まずは手始めに聖霊石の合成かねぇ」


 聖霊石の欠片を取り出し、【聖霊石合成】スキルを発動させる。

 すると欠片が浮かび上がり、やがて1つに交わる。


 その結果、できあがったのがこれだ。


 ―――――――――――――――――――――――


 聖霊石 ★?


 聖霊石の結晶


 古代文明で膨大な魔力を扱うために用いられた

 現在ではその使用方法は秘匿されている


 魔力充填率

 0/100%


 譲渡不能

 破棄不能


 ―――――――――――――――――――――――


 やはり、譲渡不能属性は変わらないようだ。

 そして、破棄不能もついている。


 つまり、聖霊石を合成した後は、何かに使うまで聖霊石は残り続けることになるらしい。


「……そう言えば、教授が魔力を込めたら充填率が上がったな……」


 そう思い、聖霊石を手に持ち、魔力を込めてみる。

 感覚としては【魔石強化】を使う時に似ていた。


 ……しばらく魔力を注ぎ続け、MPが枯渇寸前まで来たので注ぐのを中止する。


 その結果が、これだ。


 ―――――――――――――――――――――――


 聖霊石 ★?


 聖霊石の結晶


 古代文明で膨大な魔力を扱うために用いられた

 現在ではその使用方法は秘匿されている


 魔力充填率

 17/100%


 譲渡不能

 破棄不能


 ―――――――――――――――――――――――


 MPを340あまり注ぎ込んでも17%しか充填率が上がらなかった。

 ……これは本腰入れて対応するか、放置して様子を見るか、微妙なところだな。


 ひとまず、これ以上、注ぐ魔力はないのでそのままインベントリに入れておく。


 次は……そういえば上級錬金セットが届いてるはずだった。

 受け取りに行ってくるか。


 俺は変装しているのを確認してから転移アイテムで第4の街まで転移した。

 ……うーん、このアイテム地味に便利だ。

 このまま、もらえないかな……


 第4の街の錬金術ギルドについたら変装をとき、メシアさんに声をかける。


「いらっしゃいませ、トワ様。上級錬金セットでしたら届いておりますよ」

「ありがとう、それを受け取りに来たんだ」

「そうでしたか。それではこちらをお持ちください」


 そう言って渡されたのは、青い水晶玉。

 この中に上級錬金セットが入っているのだ。


「そう言えば、トワ様も聖霊石の欠片集めに参加されていましたよね? 聖霊石は完成いたしましたか?」

「ああ、さっき作ったよ。ほら、これ」

「なるほど、ですが先ほど作ったにしては、ずいぶんと魔力が貯まっているようですが」

「作った後に自分の魔力を注ぎ込んだからね。結構疲れたよ」

「これだけの魔力を注ぎ込めばそれは疲れるでしょう。本来でしたら時間をかけて、ゆっくりと自身の魔力となじませるものですから」

「自身の魔力となじませる? どういう意味だ?」


 また知らない情報がメシアさんから出てきたぞ。

 確か眷属の情報もこの人からだったよな。

 ……なにか住人の好感度上げるようなことイベントしたっけ?


「おや、なにも知らないで聖霊石を作られたのですか?」

「ああ、勢いがすごかった連れがいただろう。彼に頼まれてついてきただけだから、ほとんどなにも知らないな」

「では、私が知っている内容でしたらお教え出来ますがどうしますか?」

「じゃあ、お願いできるかな」


 動画の録画を開始っと。


「はい、まず『聖霊石』ですが、これは『自身の魔力をためる器』です。『聖霊』とたいそうな名前をしていますが神聖な物品というわけではありません」


 初っぱなからかなり大事な話が出てきたな……


「聖霊石は体から漏れ出している微量の魔力をかき集め、やがてその個人専用の『魔力の器』となります」

「『魔力の器』ってなに?」

「……すみませんが私が知っているのはここまでなのです。申し訳ありません」

「いや、謝られるほどじゃないさ」

「そうですか? それでしたらいいのですが……ああ、伝承の類いですと1つ残っていますね」

「伝承?」

「はい。何でも古代の人々はこの『器』を手に試練に挑んだとか」

「試練ねぇ……」

「非常に古い文献から発掘された内容ですので、詳しいことはまったくわかっていないのです。ただ、聖霊石はそういうものであると言うことです」


 まあ、譲渡・破棄不可の点から考えても何かのイベントアイテムなのだろう。


 もっとも、どこでどんなイベントがあるのかはまったくわからないが。


 とりあえず動画の録画はここまででいいだろう。


「興味深い話が聞けたよ。ありがとう」

「いえ、お役に立てたのでしたら幸いです。……あと、ギルドマスターより伝言が。『武闘大会が終わる頃に来てほしい。王都の錬金薬師を紹介する』との事です」

「わかりました。それじゃあ、その頃にまた来ますよ」


 簡単に挨拶を交わして錬金術ギルドをでる。

 ……何をするにも半端な時間だな……

 せっかく第4の街にいるんだし、ガンナーギルドに顔を出してライフル作って帰るか。



 ――――――――――――――――――――――――――――――



 昼食を挟んで今日2回目のログイン。

 聖霊石の状態はっと。


 ―――――――――――――――――――――――


 聖霊石 ★?


 聖霊石の結晶


 古代文明で膨大な魔力を扱うために用いられた

 現在ではその使用方法は秘匿されている


 魔力充填率

 19/100%


 譲渡不能

 破棄不能


 ―――――――――――――――――――――――


 ほとんど変わってないな。


 これログインしてる間、ゲーム内時間1時間につき1%上昇とかじゃないかな。


 そんな悠長に待っていられないので、また魔力を注入。

 MPギリギリまで注ぎ込んでまた17%ほど充填率が上昇した。


 ……これ魔力100に対して5%しか上昇してないな。

 これは時間を見て対応しないと先が長そうだ。


 MP回復を待つ間にステータスを確認する。


 ―――――――――――――――――――――――


 名前:トワ 種族:狐獣人 種族Lv.39

 職業:メイン:魔導銃士Lv.19

    サブ:錬金薬師Lv.8

 HP:187/187 MP: 46/348 ST:190/190

 STR:13 VIT:23 DEX:46

 AGI:34 INT:61 MND:38

 BP:28 SP:50

 スキル

 戦闘:

【銃Lv30 MAX】【魔導銃Lv21】【格闘Lv30 MAX】【体術Lv9】

 魔法:

【炎魔術Lv16】【海魔術Lv21】【嵐魔術Lv21】【雷鳴魔術Lv22】【氷雪魔術Lv13】

【神聖魔術Lv23】【魔導の真理Lv25】

 生産:

【中級錬金術Lv5】【中級調合術Lv5】【料理Lv24】【生産ⅡLv18】

【道具作成Lv1】【家具作成Lv1】【魔石強化Lv12】

 その他:

【気配察知Lv50 MAX Over6】【魔力感知Lv50 MAX Over6】【夜目Lv42】

【隠蔽Lv50】【看破Lv50】【罠発見Lv45】【罠解除Lv45】【罠作成Lv1】

【奇襲Lv50 MAX Over6】【隠密Lv50 MAX Over2】【採取Lv26】【伐採Lv16】

【採掘Lv50 MAX Over6】【言語学Lv13】【集中Lv30 MAX Over10】

 特殊

【AGI上昇効果・中】【INT上昇効果・中】【風属性効果上昇・中】

【風属性耐性・中】【二刀流】【眷属召喚】【魔石鑑定】【聖霊石合成】

 眷属

【神狼・フェンリル(亜成体)Lv8】


 ―――――――――――――――――――――――


 ふむ、スキルレベルカンストしてるのは【気配察知】、【魔力感知】、【奇襲】、【隠密】、【採掘】、【集中】の6つか。

 スキル進化に必要な消費SPは、【気配察知】【魔力察知】がそれぞれ5、【奇襲】【隠密】がそれぞれ6、【採掘】【集中】がそれぞれ3か……


 全部とってしまうとSP28消費して、残りが22になってしまう。

 そしてメインジョブはもうすぐ1次職カンストだからこれ以上のSP獲得は難しい。


 でもなぁ、どれも役立つスキルなんだよな、地味だけど。

 ……他の生産系スキルをスキル進化させる気はないし、サブジョブはまだ12も上がる余地が残ってる。

 ええい、面倒だ! 一気に進化させてしまおう!


 という訳で進化後がこれ。


 ―――――――――――――――――――――――


 名前:トワ 種族:狐獣人 種族Lv.39

 職業:メイン:魔導銃士Lv.19

    サブ:錬金薬師Lv.8

 HP:187/187 MP:348/348 ST:190/190

 STR:13 VIT:23 DEX:46

 AGI:34 INT:61 MND:38

 BP:28 SP:22

 スキル

 戦闘:

【銃Lv30 MAX】【魔導銃Lv21】【格闘Lv30 MAX】【体術Lv9】

 魔法:

【炎魔術Lv16】【海魔術Lv21】【嵐魔術Lv21】【雷鳴魔術Lv22】【氷雪魔術Lv13】

【神聖魔術Lv23】【魔導の真理Lv26】【魔石強化Lv12】

 生産:

【中級錬金術Lv5】【中級調合術Lv5】【料理Lv24】【生産ⅡLv18】

【道具作成Lv1】【家具作成Lv1】

 その他:

【気配察知ⅡLv7】【魔力感知ⅡLv7】【夜目Lv42】【隠蔽Lv50】

【看破Lv50】【罠発見Lv45】【罠解除Lv45】【罠作成Lv1】

【奇襲ⅡLv7】【隠密ⅡLv3】【採取Lv26】【伐採Lv16】

【採掘ⅡLv7】【言語学Lv13】【集中ⅡLv11】

 特殊

【AGI上昇効果・中】【INT上昇効果・中】【風属性効果上昇・中】

【風属性耐性・中】【二刀流】【眷属召喚】【魔石鑑定】【聖霊石合成】

 眷属

【神狼・フェンリル(亜成体)Lv8】


 ―――――――――――――――――――――――


 またSPが寂しくなってしまった。

 しかも、βの頃から変化がなければ【中級錬金術】や【中級調合術】の進化にはまたSP15ずつ必要なんだよなぁ……


 これ以上の浪費は避けないと詰みかねない。

 ……あるいはでSP稼ぎをするかだ。


 あまり、はとりたくないんだけどなぁ。


 ……あ、MP完全回復してる。

 回復速度10倍と【魔導の真理】が仕事してるな。

 さて、また聖霊石に魔力充填してっと。


 ……これで50%は越えたけど、あと3回はMP枯渇させなきゃダメかぁ……

 MPないと錬金も調薬も出来ないからな……

 大人しくしてよう。



 ――――――――――――――――――――――――――――――



 とりあえず、MP充填しては休み、回復したらまた充填を繰り返す事3回。

 ついに充填率が100%に到達した。

 あと、ついでに【魔導の真理】も1レベル上がった。


 で、結果がこちら。


 ―――――――――――――――――――――――


 聖霊石 ★?


 聖霊石の結晶


 古代文明で膨大な魔力を扱うために用いられた

 現在ではその使用方法は秘匿されている


 トワの魔力で満たされている


 魔力充填率

 100/100%


 譲渡不能

 破棄不能


 ―――――――――――――――――――――――


 フレーバーテキストがちょっと変化したぐらいで、他には変わりがない。

 ……うーん、錬金術ギルドに行って確認かな……


「トワー、ちょっと、いるんでしょう?」


 うん? 柚月か。


「どうかしたか柚月」

「店舗の在庫してたポーション類が全部売り切れてるのよ。雲隠れ中とは言え外聞が悪いから少し補充してくれないかしら?」


 在庫切れか、それは確かに問題だな。


「わかった。それじゃあ今から補充しに行く」

「おねがいねー」


 さて、補充すると言った以上、補充がんばるとしますか!

 錬金術ギルド行くのは夜でいいや。

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