35.金曜の夜から土曜 ~販売2日目とクエスト依頼と~
本日2話目の投稿。
前話はあらすじさえ抑えてもらえれば読んでも読まなくても大丈夫です。
前話のあらすじ
園田某くんが警察に捕まった
それでは本編をどうぞ。
**********
月曜からまた慌ただしくなりそうだ、などと他人事のように考えながら帰った金曜の夜。
『ライブラリ』2回目の商品販売日である。
午後8時頃にログインするとユキ以外のメンバーは全員そろっていた。
ユキについてももう少し経てばログインしてくるだろう。
「こんばんは、皆。行列ってもうできてる?」
「あら、こんばんはトワ。行列はまだだけどすでに並んでいる人はいるわね」
「つまり、これからまた人が増えそうであると」
「そういうこと。まあ、それは仕方が無いこととして、トワ、ポーションの増産お願いできるかしら」
「了解。できるだけやっておくよ」
「ええ、頼んだわ。私達も可能な限り増産しておくから」
「おっけー、それじゃあユキ来たら……あ、ユキ」
「こんばんは。皆、これから準備?」
「準備というか商品の補充というかね。ユキもお願いできるかしら」
「はい、わかりました」
俺達はそれぞれの作業場所に散り、在庫の補充を行う。
そして、開店時間を迎えた頃には行列は30人ほどになっていた。
「この前に比べれば格段に人が少ないわね」
「確かに。でも、制限は一緒でいいよな」
「ええ、それで構わないわ。それじゃあ皆、今日も張り切って行きましょう」
――――――――――――――――――――――――――――――
結果から言えば、この日は大分余裕があった。
行列が途切れる時間もあったし、商品が売り切れになるのも大分遅い時間になってからだった。
ついでに言えば、余裕のできた時間には途中で
途中、ハルやリクが遊びに来てその対応をする余裕もあった。
それでも高ランク品は売り切れるし、在庫補充はそう簡単には追いつかない。
とりあえず客足の途絶えた午後11頃に閉店して、今日の反省会をすることにした。
「皆、今日もお疲れ様。それで、今日の売上っていくらぐらいかしら?」
「大体1000万Eってところだな。やっぱり高ランク品が売れるおかげで売上も大きいや」
「それではあとで個人ごとの売上明細も作っておくことにするかの」
「そうだな。ドワン、よろしく頼む」
「おう。任せておけ」
ざっと売上確認をした俺達は反省会へと移る。
「今日の反省会だけど、何か問題点ってあったかしら?」
「うーん、見てた限りだと販売用レジが足りない場面が目立ったぐらいだけど……」
「あれは仕方が無いんじゃないかなー。これ以上増やしても無駄になる気もするしねー」
「そうね。それじゃあ当面はこの体勢で望むとしましょうか」
「うーん、俺はもう常時営業状態にしてしまってもいいと思うんだけどなぁ」
「わしもそう思う。注意事項は掲示板でも周知してあるしのう」
「……そうね、いつまでも私達が張り付いて販売というわけにもいかないものね」
「そうそう。売り切れはどうしても発生するわけだし、いい品が入ってるかどうかは運次第ってね」
さすがに毎回毎回売り子をしているわけにはいかない。
俺達は生産者であって商人ではないのだ。
「あの、確か住人の人をお店の売り子として雇える。って話を聞いたことがあるんですけど、それだとダメなんですか?」
「ああ、それか。ダメって訳じゃないけど、俺達の場合、商品の供給が追いつかない事が問題なのであって、売り子の有無ってあまり関係ないからなぁ」
「昼間の時間帯だけ雇うって選択肢はあるけど、それだと夜時間はどうするって話になっちゃうのよね」
「まあ、売り子を雇えばマナーの悪い客をブラックリストに登録してもらう事も出来るがの。一長一短と言ったところじゃのう」
ユキから住人の売り子を雇うという案が出されるが、今回は様子見と言うことで却下となった。
「……とりあえず、明日は1日在庫の補充に充てる。それで日曜の夜から24時間営業ってことでいいかしら」
「うん、それでいこう。他に決める事ってあったかな?」
「……特になかった気がするのう。それでは、わしは個人ごとの売上明細を作る作業に移らせてもらうぞ」
「ええ、お願い。それじゃあ今日は解散ね。皆お疲れ様」
こうして第2回目の商品販売も成功裏に終わった。
「それじゃあボクは落ちるねー。おやすみー」
「私も落ちますね、おやすみなさい」
「俺は寝る前に少しポーションを補充しておくかな」
「あまり無茶しない程度にしなさいよ」
「わかってるって、それじゃな」
俺は工房へと引っ込み、早速、ポーション類の調合を始める。
売れ筋の高ランクMPポーションをメインに各種ポーションを作成していると、1通のメールが届いた。
差出人は、教授だ。
「なになに、『明日の夜に会って話せないか』か……特に用事もないしOKっと」
教授のメールに返信し、俺は時間が許す限りポーション作成に励んだ。
――――――――――――――――――――――――――――――
翌日の土曜日は学校が休みなので、午前中からログイン。
ガンナーギルドで
午前中は家事をこなして過ごし、午後は買い出しに出かけた。
そして夕食をたべて、寝る支度を調えたら改めてログインする。
「やあ、待たせたのであるかな?」
約束の時間までポーション作成をして待っていると教授が時間通りにやってきた。
だが、やってきたのは教授だけではなく……
「おじゃまさせてもらうよ、トワ君」
白狼さんも一緒にやってきたのだ。
「白狼さんも一緒ですか? 教授からは何も聞いてないのですが」
まあ、一緒の用事なんだろうなとは思いつつも念のため確認を取ることにする。
「うむ。連絡が取れたのがトワ君のあとだったのでな。トワ君の方に白狼さんを連れて行くという連絡が遅れたのである」
「いきなり押しかけるような形になって申し訳ない。これ、おみやげの素材だ。受け取ってくれ」
白狼さんから色々な素材の詰め合わせをもらったので、クランの共有倉庫の方に入れておく。
ここに入れてあるものは各自好きなように使っていいことになっているため、必要な人間はあとで適当に持っていくだろう。
そんなことよりも、白狼さんまで一緒の依頼とはなんだろうか?
「それで、今日は何の用事なんです? 教授、白狼さん」
「うむ、そのことなのであるが、できれば全員そろった状態で話をしたいのである」
「全員?他にも誰か誘っているのか?」
別に俺達に関係のある話題なら、クランホームを使ってもらうのは構わないけど、誰が来るのかはあらかじめ伝えて欲しいなぁ。
「ああ、いや、そういう意味ではなく。『ライブラリ』の全員に話を聞いてもらいたいのである」
「『
「うむ、できれば全員が望ましいが無理であれば、そろう人間だけでも十分である」
しょうがない、クランチャットで全員に確認を取ってみるか。
『おーい、皆。教授が全員集まって話したいことがあるらしいけど集まれるか?』
『私は大丈夫だよ。今、ちょうど料理が終わって一息ついたところだから』
『私はちょっと待ってほしいわね。今、作ってるものの仕上げに取りかかっているところだから。10分ぐらいちょうだい』
『わしもじゃのう。10分あればわしの方も仕上がるので大丈夫じゃ』
『ボクは今からでも平気だから、すぐいくねー』
『あ、それじゃあ私、お茶菓子とお茶用意してから行くね』
ふむ、10分ほど時間があれば全員集まれるのか。
「確認が取れた。10分後ぐらいなら全員集まれるってさ」
「うむ、では待たせてもらうのである」
「僕もそうさせてもらうよ」
「了解。とりあえず2階の応接室へどうぞ」
2人を連れて2階へと上がり、応接間へと案内する。
そこにイリスが合流し、お茶の用意をしたユキ、その後、柚月とドワンが合流する。
ユキが全員にお茶を配り終えたあと、早速教授へと本題の確認を行う。
「それで、今日はいったい何のようなんだ、教授? わざわざ全員を集めてから話をしたいって事は、何か大きな作成依頼でもしたいのか?」
「うむ。作成依頼は作成依頼でしたいものがあるが、今の状況では受けてはもらえまい?」
「納期と内容次第で作成依頼なら引き受けられるけど、それなら必要なメンバーだけで十分だよな。全員呼んだっていうことは、作成依頼とは別件だと思うんだけど、あってるか教授?」
「うむ。今日は作成依頼とは別件である」
さて、今日の依頼内容は何だろうか。
「『ライブラリ』に依頼したい内容は、とあるクエストの検証を手伝ってもらいたいのである」
「クエストの検証? それなら『インデックス』だけでも十分なんじゃないのか?」
「今回の検証には僕達『白夜』も関わっているんだよ。それで、口が堅くて検証に協力してくれる可能性がありそうな人に直接頼んでまわっているらしいんだ。教授が」
「うーん、皆どうする?」
「とりあえず話だけでも聞いてみればいいんじゃないかしら?」
「そうじゃのう。話を聞いてみてから受けるかどうか決めてもええんじゃろう?」
「うむ。もちろんである。ただ、ここで聞いた話は他言無用にしてもらうのであるが」
「それなら話を聞いてみたいかなー。わざわざ教授が持ち込んできたクエストって言うのも興味あるしー」
「うん、私も話を聞いてみたいかな」
「反対意見はないと言うことでよいであるな」
教授が最終確認を取ってくる。
「ああ、とりあえず話を聞かせてもらおうか」
「うむ。検証を手伝ってもらいたいクエストは『狼は銀月に吠える』。特定の日に特定の場所に行くと発生する特殊クエストである」
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いつもお読みいただきありがとうございます。
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~あとがきのあとがき~
こうして書いているとトワくんが結構廃人プレイしているように見えますが、そこまで廃人プレイしているわけではありません。
ログイン時間は午後8~9時から午後12時前後ぐらいまでです。
……まあ、結構はまっているのでほぼ毎日ログインしていることは間違いないのですが。
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