13.クラン『ライブラリ』2
MMORPGと言うモノは夜時間がゴールデンタイムですが、夜更かしには注意しましょう。
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さて各自の装備調整だが、まずは素材を配ってしまわないとな。
「それじゃあ素材を配布するぞ。まずは自分達用の最低限の装備作成からだな」
「うむ、確認じゃが、ユキの嬢ちゃんのメインウェポンは槍で間違いないな?」
「ええと、できれば槍じゃなくて、できれば薙刀が欲しいんですが作れませんか?」
「ううむ……出来れば作ってやりたいが、薙刀となるとオリジナルレシピ扱いになるじゃろう。スマンがリアル時間で2~3日ほど時間をもらえるか。さすがにスキルレベルが低すぎる」
「はい、それなら構いません。それではつなぎの武器として槍をお願いします」
「わかった。それで鎧は金属鎧でよいのかの?」
「えっと、それもできればもっと動きやすい鎧装備がいいんですが、難しいですか?」
「金属鎧がダメなら皮鎧ね。そっちは私の管轄になるから、後でウルフレザーの皮鎧一式を作ってあげるわ。ちなみにトワもウルフレザーの皮鎧でいいのかしら?」
「ああ、それで構わない。あと足装備には格闘用の仕掛けが欲しいんだが可能か?」
「安全靴みたいな金属を仕込む事は可能ね。ドワン、ブロンズができたらいくつかちょうだい」
「心配せずとももう出来とるわい。ほれ」
「サンキュ。それじゃ後衛で出来が多少悪くても問題がないトワの装備から作って、その後、イリス、ユキの順番ね。あ、これはスキルレベルアップの恩恵がある順番だから、ユキをハブろうって訳じゃないからね」
「はいわかっています。急がなくても構わないのでよろしくお願いします」
「大丈夫よ。私も明日はおやすみだから、明日の朝までには完成させておくわ」
さすが廃人思考の柚月だけあって納品時間が短い。
そのほかのメンバーも、柚月が魔法職のため杖、イリスが弓、ドワンがメイスという形で落ち着いた。
なお、俺の武器である銃はまだ作成方法が判明していないらしい。
教授に連絡を取って『インデックス』として掲示板まで調べてもらったため間違いないだろう。
とりあえず、このメンバーの装備品については、明日の朝までには全部仕上がる予定だ。
イリスは中学生らしいのだが、そんなに夜更かししても大丈夫なのか不安になる。
そこに我が妹ハルからのメールが届いた。
『お兄ちゃんのクランでわたし達の武器ってそろえられないかな?予算は各自5kで収まると助かるんだけど』
「ドワン、妹からの依頼で武器を見繕って欲しいそうだけどできそうか?」
「素材量的にはまったく問題ないのう。素材がブロンズでよければ、むしろ今のうちに発注しておいてもらった方が助かる」
「了解、それじゃそう返すよ」
その後、メールをやりとりしてわかったことなのだが、予定通りウルフ討伐に挑んで見事に返り討ちに遭ったとのこと。
それならばと装備を新調しようと思ったが、市場に流れているものは、まだまだ低品質品か、さもなくばボッタクリに近い価格らしい。
なお、その狩りの際にはリクも同行していたらしく、最後まで粘ったが物量差で負けてボコボコにされたらしい。
と言うわけで、リクの装備依頼も追加された。
リクの装備内容は取り回しやすいショートソードとカイトシールドで合計8k前後に抑えて欲しいらしい。
それについてもOKがでたため、リクに伝えるとめちゃくちゃテンションの高い返事が返ってきた。
俺の妹達の装備品についても明日の朝までには仕上げるということなので、その予定を各自に伝えてOKの返事をもらった。
その後は、各自それぞれの生産作業に入った。
途中、満腹度が減ってきたメンバーにユキの料理が振る舞われ、その味に絶賛されるなどのことはあったが、おおむね問題なく貸しスペース利用時間の終了時間が来たので、その場は一度解散となった。
そして、商品鑑定をしてもらい、各自自分の商品を市場へと販売登録した。
商品鑑定とは、自分が作った作品を生産ギルドに鑑定してもらい、その出来栄えでギルド貢献度が上がると言った仕組みだ。
ギルド貢献度が上がればギルドランクが上がり、様々な特典を受けることができる。
俺の作った回復薬も一般品が★1に対して最低★3、最高が★4と言うこともありかなり強気の値段設定とした。
他のクランメンバーも、数を優先としたシンプルなデザインだが★3以上の装備品をこちらも強気の値段で出品している。
一方で、数打ちで失敗した★2品はリーズナブルな価格で市場に流していた。
もちろん、俺とユキの作った消耗品については仲間に渡す分を別途作成して渡してある。
ウルフ肉の焼き肉5つずつにHPポーションを10個ずつ渡しておけば、とりあえず今日は問題ないだろう。
と言うわけで、この後も生産活動を続けるメンバーは貸しスペースを借りに行き、寝ることにする俺とユキはこのまま生産ギルドを後にしてギルド前広場でログアウトするのであった。
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翌朝リアル時間7時、目を覚ました俺は、顔だけ洗ってログインしてみることにした。
昨日ログアウトしたギルド前広場に現れると、メール着信のアイコンがあったためその内容を確認する。
着信していたメールは2通、柚月とドワンからだ。
内容はどちらも『頼まれていた装備ができたから取りに来い』と言う内容だった。
着信時間は現実換算で午前2時頃と午前6時半頃なんだけど、2人ともちゃんと寝たのだろうか。
フレンドリストを確認すると、2人ともログイン中だったので、まずは柚月と連絡を取る。
『おはよう柚月。ちゃんと寝たのか?』
『あら、おはようトワ。とりあえず3時間は寝たから大丈夫よ。この後、また仮眠を取るつもりだし』
どうやら生産の調子が良すぎてハイになっている感じのようだ。
さっさと取引を終わらせてしまった方が良さそうだ。
『頼んでいた装備ができているなら取りに行きたいんだけど、今どこにいる』
『フレンドリストから確認できるでしょ。生産スペースよ。ドワンも一緒にいるからこっちに来て』
確かにフレンドリストを確認すれば居場所はわかるか。
早速、生産ギルドに向かうとしよう。
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生産ギルドの生産スペースまで移動すると、柚月とドワンが出迎えてくれた。
「よくきたわね、トワ。はい、あなたとユキの分の装備よ」
「こっちもユキ嬢ちゃんとおぬしに頼まれていた分の装備ができあがっているぞい」
二人からトレードされた装備は、当然ながら今装備している初心者装備とは比較にならないほどよいものだった。
例えば、柚月の作った皮装備だけ見てもこの通りだ。
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ウルフレザーの皮鎧 ★4
ウルフの皮を利用して作られた皮鎧
魔術的な処理もされているため
動きやすく防御力も向上している
装備ボーナスAGI+1
DEF+8 MDEF+4 AGI+1
耐久値:120/120
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ウルフレザーのリストガード ★4
ウルフの皮を利用して作られたリストガード
魔術的な処理もされているため
動きやすく防御力も向上している
装備ボーナスAGI+1
DEF+4 MDEF+3 AGI+1
耐久値:120/120
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ウルフレザーのグリーブ ★4
ウルフの皮を利用して作られたグリーブ
魔術的な処理もされているため
動きやすく防御力も向上している
またブロンズ板が仕込まれているため
格闘用にも使える
装備ボーナスATK+2 AGI+1
ATK+2 DEF+6 MDEF+3 AGI+1
耐久値:120/120
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このほか、ユキ用の槍や他のハル達の装備も含めてすべて★4で揃っている。
この辺は、さすがとしか言いようがない。
「ハルの嬢ちゃん達の分としてブロンズアーマーも作成してあるがどうする?」
「うーん、まだハル達はログインしてないし、一応受け取るだけ受け取っておこうかな。ちなみにいくらで売ればいい?」
「市場に流す時は30kで流しておるが、嬢ちゃん達なら8kと言ったところかの」
「了解。会ったときにでも聞いておくよ」
「うむ、頼んだぞい。あと、おぬし用の採取道具一式も渡しておこうかの」
そう言って渡されたのは、ツルハシと伐採斧が数セットだった。
これで採掘や伐採もしてこい、と言うことなのだろう。
「うん、了解。ところで2人は売上どれぐらいになってる?」
「私もドワンもまだ市場に出品してないわよ。生産ギルドの商品鑑定もまだだしね。トワもまだ残っているんでしょう? 一緒に行きましょう」
「今ならそんなに時間も取られないか。了解、行こうか」
「さて行きましょう。正直、早く市場に出品してゆっくり仮眠を取りたい気分だわ」
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商品鑑定を受けた結果、3人ともギルドランクが1上がって2になった。
ギルドランクが上がったことで、早速『弟子入りクエスト』と通称されるクエストを受けることができた。
クエスト内容は、始まりの街にいる職人の作業を手伝うという内容のクエストだ。
俺達はクエストを受領して、それぞれ市場に商品を出品していく。
俺達の作った★3や★4の商品はほぼ存在しないため、強気の値段設定で出品していく。
現状で手に入るだろう最高品質品だし、売れ残ったら値下げして再出品すればいいのだ。
こうして市場への商品出品が終わったあと、俺達は軽く挨拶してそれぞれログアウトしていくのであった。
俺もログアウトして現実側での朝食を作らないといけないからな。
リクに装備ができたことと追加で鎧装備があることをメールして、俺もログアウトすることにした。
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