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「結局後輩と合流したら顔を見て笑われましたけどね。いやー本当恥ずかしかった」

「そんなに恥ずかしがらなくてもよろしいのに」

 ルカさんはノーメイクでもイケメンなのは変わらないでしょ?

「そんなことないですよ。この顔でいる為にそれなりに努力をしていますからね。スキンケアだってメイクだって」

 そう言ってまつげエクステのついた丸い瞳で見上げてくる。その瞳にはグレーに近いカラーコンタクト。ハイトーンの髪色も相まってどこか日本人離れしている。微笑む顔は以前からずっと変わらないのに。

「メイクの基本はやっぱりすっぴんでも肌が綺麗かどうか、だとは思うのでノーメイクでも毛穴レスな肌を目指してはいますけど」

 ルカさんくらいイケメンだったらそんなに努力しなくてもいいような気もするけれど?

「何言っているんですか、マスター」

 自分はイケメンじゃないって? 御謙遜を。

「それとこれは別でしょう?」

 とっさに「え」と言ってしまいそうになる、え?

「顔のつくりと肌の綺麗さは比例しませんから」

 なんてサラッと言ってのける。いや、確かにそうだろうけれども。ごめんね、日本人は謙遜する生き物だとまだ思っているみたい。

「あ、俺が自分でイケメンだって言ったからそんな顔しているんですね?」

 え、俺今どんな顔してた?

「まぁメイクが趣味で仕事にしているくらいですから自分の顔の作りくらいは把握していますし、周りのリアクションも、ね」

 ルカさんはどこからどう見ても顔も姿も全身がイケメンだけれども。

「自分を客観的に見るって大切ですよ。どこが良くてどこがダメか。どこを伸ばしてどこを克服するか。自問自答を繰り返して自分をアップデートしていくのは大切です。そうすることで自分が考える最高の人物になれるんですから」

「・・・さすがルカさんですね」

 だからこそ自分はイケメンだって言えるのだ。それは驕りでも何でもなくて、ただの事実だから。

「世の中の美男美女は多分、同じように思っていると思いますよ。そうじゃなきゃあんなに自信満々に外を歩いていないもの。でもそれはただ顔が良いって事実だけで、それ以外の何でもない。内面的な美しさは目には見えないし、それは外見には関係ない。イケメンだって言われるのも嬉しいですけれど、それだけじゃなくて全部含めて素敵な人だって思われたいですから」

「ルカさんは今でも十分素敵な人ですけどね」

「いやいやマスター程では」

 そう薄く笑みを作って言う。

 あれ、ここは「そりゃそうですよ」と肯定すべきところ?

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