レモネード
カゲトモ
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「こんばんは」
爽やかな笑顔で来店したのは、先日大雨の日に出会った美青年だった。
「いらっしゃいませ、ルカさん」
「ふふ、この間振りですね。やっと仕事が一段落したので飲みに来ました」
「それはそれはお疲れ様でございました」
先日出会ったのはクラシックなパンケーキが美味しいカフェでのこと。庭の花々が倒れそうなほどの強い雨で、ランチ兼雨宿りをしていたら突然隣の席に腰かけて来たのだ。水も滴るいい男が。
「ありがとうございます。どうにかあの後の撮影も上手く行って今日は久しぶりに日を跨がずに帰ることができました」
その笑顔はとても疲れているようだけれどどこか嬉しそうでもある。それが早く帰れることだけじゃなくて、俺の店に来られたからだとしたらとても嬉しい、なんて。俺はルカさんが笑顔ならなんでもいいよ。
「この間は災難でしたね」
「あんなに雨に打たれたのは小学生以来じゃないでしょうかね? 下着まで濡れましたもん」
そう言ってふふふ、と恥ずかしそうに微笑む。
仕事道具を濡らすわけにはいかないと、自分が代わりに豪雨に打たれていたルカさん。その姿は見事にずぶ濡れで、いつもきれいにメイクされているお顔もその時は恥ずかしいくらい崩れていると言っていた。俺からしたらどこが崩れているのかも分からないくらいだったけど。それはそれで失礼な話かもしれないけどな・・・メイクしてもしなくても変わらないって言っているようなもんだし・・・いや、肌が綺麗って点ではメイクが崩れても変わらないってのはいいのかも? ルカさんにはあまりじっと見ないでとは言われたけれど。
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