コテージの朝に
若い季節は終わった。
僕たちは歳を重ね、このムラに戻ってきた。
そして親友のカツヒコが、僕に問いかける──そんな、コテージの朝。
「このところ、毎日のように、おれたちが子どもだった頃の邦楽のはなしをしてるけれど」
「うん」
「trfの『BOY MEETS GIRL』を聴いたんだ」
「小室か……」
「おれたちが子どもだった頃、『小室ファミリー』という流行語があった」
「みんな小室が作る歌ばっかり聴いてたよな」
「お前もあるだろう、trfやglobeの記憶が──」
「あるよ」
「相変わらず小室の歌詞は変だと思ったよ、改めて当時の楽曲を聴いて。まとまりがなく、意味もはっきりとしない」
「わかるよ、でも、俺は小室の作詞には擁護できるところもある気がするよ。あの人、言葉の意味よりも、言葉のひびきを重視していたんだろう?
断片的に、ハッとするフレーズが存在することは否定出来ない」
「同意するけど、そういった作詞のスタンスのせいで、小室批判が巻き起こったのも否定出来ないよ」
「俺の父ちゃんが」
「お前の父ちゃんが?」
「言ってたよ、『小室だけでなく桜井もずいぶんマスコミに叩かれていた』って」
「桜井って、ミスチルの桜井か!?」
「そうだよ。だったら桑田は、何十年に渡って叩かれ通しなんだ、って思ったけど」
「桜井にしても桑田にしても
「小室もそれは同じだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます