コテージの朝に

若い季節は終わった。


僕たちは歳を重ね、このムラに戻ってきた。


そして親友のカツヒコが、僕に問いかける──そんな、コテージの朝。


「このところ、毎日のように、おれたちが子どもだった頃の邦楽のはなしをしてるけれど」

「うん」

「trfの『BOY MEETS GIRL』を聴いたんだ」

「小室か……」

「おれたちが子どもだった頃、『小室ファミリー』という流行語があった」

「みんな小室が作る歌ばっかり聴いてたよな」

「お前もあるだろう、trfやglobeの記憶が──」

「あるよ」

「相変わらず小室の歌詞は変だと思ったよ、改めて当時の楽曲を聴いて。まとまりがなく、意味もはっきりとしない」

「わかるよ、でも、俺は小室の作詞には擁護できるところもある気がするよ。あの人、言葉の意味よりも、言葉のを重視していたんだろう?

断片的に、ハッとするフレーズが存在することは否定出来ない」

「同意するけど、そういった作詞のスタンスのせいで、小室批判が巻き起こったのも否定出来ないよ」

「俺の父ちゃんが」

「お前の父ちゃんが?」

「言ってたよ、『小室だけでなくもずいぶんマスコミに叩かれていた』って」

「桜井って、ミスチルの桜井か!?」

「そうだよ。だったらは、何十年に渡って叩かれ通しなんだ、って思ったけど」

「桜井にしても桑田にしても出典ソースが手元にないよ」

「小室もそれは同じだ」

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