第71話 公爵邸の夜



 食事の後、俺が案内された部屋は、リビング、ベッドルーム、浴室、トイレとメイド用の小部屋まで付いた大きな客室だった。

 建前上、ニーニャは俺のメイドということになっているので、二人は同室だ。


 浴室の造りは俺とニーニャが住んでいる旧男爵邸とそう変わらなかった。男爵は、浴室にこだわったのだろう。 

 バスタブの大きさも同じくらいなので、使いやすかった。


 ニーニャと俺は今、二人で湯船につかっている。

 俺が上向きに横たわり、その上にニーニャが伏せるように横たわっている。彼女は、俺の胸の上で気持ちよさそうな顔を横に向けている。薔薇色の赤い髪が水面に広がっている。

 恐らく最高級の入浴剤なのだろう。浴室は柑橘系のよい香りが立ちこめ、お湯の表面には細かい泡が浮いている。俺にっては、初めての泡風呂だ。


 ニーニャのすべすべした背中を泡越しに撫でる。滑らかな感触と、ニーニャの香りが俺をたかぶらせていく。


 彼女の小さな乳首が俺の胸をくすぐる。俺は我慢ができなくなり、彼女の身体を横抱きにする。ニーニャの青い目が、じっと俺を見上げる。その瞳の中に妖しい炎が揺らめく。


 額から鼻筋、頬、あご、耳へと口づけていく。彼女が目を細めたところで、その唇を味わう。唇から彼女の吐息が漏れる。


「むむん」


 俺は彼女の腕を上げさせ、腋窩に唇で触れる。彼女の身体がビクッと震える。


「マ、マサムネ……」


 そこは、ニーニャ=ノートに記録した彼女の弱点でもある。おれが唇の間から舌を少し出し、肌をなぞると、彼女はさらに体を震わせた。


「いいんっ」


 その言葉を口づけで受けとめ。形がいい乳房を手で愛撫していく。初めて愛撫したときに比べ、それは少し大きくなり、形も良くなっている。俺は、手で根元を絞るようにして乳首を突きださせる。ニーニャの息が早くなる。


「あんっ」


 俺の唇が乳首に触れると、彼女は可愛い声を漏らした。乳首に軽く歯をたてると、湯の中でニーニャの身体がピンと伸びた。

 俺は優しい愛撫でニーニャの全身を解きほぐしていく。


「気持ちいいわ、マサムネ」


 トロンとしてきたニーニャの表情が、再び俺に火を点ける。彼女の身体を抱えあげ、浴槽から出る。浴室の床に敷いた布の上にそっと降ろしてやる。壁のくぼみに入っていたカンテラを彼女の側に置く。


 俺は、ニーニャを柔らかい布で拭きながら彼女にいろんな姿態をとらせる。カンテラが、ニーニャの美しさを浮かび上がらせ、ゆらゆら揺れるロウソクの炎が、俺たちの感情を映しだすかのようだった。


「は、恥ずかしい……」


 俺に体の隅々まで見られ、ニーニャが声を漏らす。俺はピンク色に染まった彼女の全身に口づけせずにはいられない。

 

「ニーニャ、綺麗だよ」


 耳元でそう囁いただけで、ニーニャの身体がピクピクする。

 俺は明け方までニーニャを愛撫した。

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