第17話 火炎団4


 男たちに囚われた私は、すでに覚悟を決めていた。

 唯一の希望は魔術契約をしたマサムネだが、彼が土地勘の無い夜の森を抜け、ここまでたどり着くことなどできるわけがない。

 むしろ、マサムネが来ないほうがいい。もし来たら、殺されるに決まっているからだ。

 男たちから辱められる前に、舌を噛んで死のう、そう決めていた。


 別室に連れていかれた後、足の縄だけ解かれると、服をはぎとられ、水が入ったタライの中に立たされた。分厚い唇の小柄な男が、ニヤニヤしながら体の隅々を洗っていく。

 おぞましさに鳥肌が立った。


 小男は執拗に私を洗っていたが、もう一人が声を掛けると、洗うのをやめ、布で体の体を拭いた。薄いローブを羽織らされ、毛皮が敷いてある部屋に連れもどされる。

 大男の前にひき出された。

 私の赤い髪が、男の手でもてあそばれる。


「すげえ髪だぜ。

 シェーラン織りみてえな手ざわりだ」


 大男の手が私のあごに掛かる。


「もう少し成長したら、すげえ女になるぜ、おめえは」


 私は目を閉じ、じっと耐えていた。

 鼻をつままれ、苦しくなって口を開けると、何かをくわえさせられた。木の棒らしい。

 舌を噛んで死ぬ手段を奪われたと悟った私は、力いっぱい大男の向こうずねを蹴った。相手は、ニヤニヤ笑っているだけだ。まったく効いていない。


 大男は、縛られた私の両手をその大きな右手でつかむと、私の身体を軽々と吊りあげた。しばらくなめまわすように身体を見られた後、そのまま毛皮が敷かれた床にほうり投げられた。


「ぐっ」


「おい、おめえら、しっかりそいつを押さえておけよ」


 二人の男が、私の足を片方ずつ持ち、それを広げようとする。

 私の叫びは、猿ぐつわで声にならなかった。

 大男のごつごつした手が、全身を這いまわる。

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