1話 とある物語の一部――その3


 終わりには終止符を 完結には最後の一文を


 悲劇には涙を流し 幸せな終わりには笑顔をお披露目




 かくして我らの物語は幕引きを迎える


 読み手の皆様 この物語と語り部にどうぞ盛大な拍手と喝采を






 〜~とある作家が書いた日記の最後の1ページ~~







 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――






 どうか どうかこの罪を忘れないように


 私たちのもたらした幸福が 別の誰かの不幸につながってしまったことを


 私たちを導いた祝福が 別の誰かの呪いになってしまったことを


 どれだけの幸せな時間を送っていても


 誰かを傷つけた過去は 簡単に消し去ることなどできない


 その思いを 記憶を


 この独白のなかに閉じ込めなくてはならない



 想い踏みにじり 苦しみをあたえてしまったこと


 これが私の罪であり


 それを背負うことが 自身に課した償うべき罰なのだから


 




 


 




 あぁ だけど


 この先の子どもたちが自らの幸せを 己の手で掴み取れますように


 こんなささやかな祈りだけでも独白のなかに残すことを


 あなたは許してくださいますか 創世の女神様 











 〜~『不死鳥の娘の日記』最後の1ページ〜~

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