第107話 勝手にすれば



 うざい知り合いとはいえ、彼女を危険な事に巻き込んでしまう行動をとらなくて良かった。


 水龍事件の事を知ってるような連中に出くわしてしまったら、どんな事になるか分かったものじゃない。


 今回は僕の方がシロナに助けられちゃったな。


「それに関しては悪かったと思ってるけど、優秀な情報屋に調べて欲しい事があるんだ。良い?」

「お? おだててきたねー。これはかなり切羽詰まってると見た! 良いよ? 何かニルバっちが気になる事でもあったのかなー?」

「実は……」


 連中は、シロナが一人でレベリングしていた時には姿を現している。

 なのに、僕と一緒にいる時にには出てこなかった。


 単純にフィールどに他のプレイヤーがいるからかもと思ってたけど、そうじゃないとしたら、その事実がらいかを救出するための足かせになってしまうだろう。


 連中は僕を警戒している。


 つまり、らいかを攫った奴らは、僕の過去の知り合いなんじゃないかと思ったのだ。

 これは、半分勘のようなものだけど。


 初めは弱いプレイヤーにちょっかいをかけるだけだったのに、僕達の存在が目についたから、嫌がらせてちょっかいをかけてきたんじゃないだろうか。


 ……なんて。


 そうだとしたら、これは僕自身が決着を付けなくちゃいけない問題だ。

 らいかはもう巻き込んでるから仕方ないけど、シロナは家に置いて行った方が良いかもしれない。


 けど、


「私もついていきます。らいかさんを助けないと」


 やっぱりコイツ頑固だからなぁ。

 おいてっても勝手についてきそうでこわいんだよね。

 水晶草の時だってそうだったし。


 むしろ、そっちの方が危ないよ。


「はぁ、もう……勝手にすれば」

「ニルバさん、ありがとうございます!」


 まあいいかな。危なくなったら逃げてもらうし、何でかシロナがこの件に関わる事は別に嫌じゃない……ような気がするし、さ。


 諸々の話合いが終わった後は、装備を整えながらアリッサの報告待ちをする時間となった。


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