第106話 もしもの可能性
プレイヤーホームに着いてから一時間後、やってきたアリッサは大変な事態が起きてても変わらない様子だった。
「やっほー、ニルバっちシロナっち、先日ぶり」
他人の家でも遠慮もなくに自分のペースを貫いている。
ふつうこういうとこきたら、ちょっとはマナーとか態度とか気にするよね。
アリッサにそういう事期待するのまちがってるのかな。
「挨拶は良いからさっさと要件入るよ」
「ニルバ君は相変わらずつれないなぁ」
こういう時は、お茶の一つでもだすところだろうけど、こっちは妹の身の安全がかかってる。
さっそく話をはじめる事にした。
生憎とこっちは、口をとがらせて不満を述べている彼女にフォローをいれるほど、心に余裕があるわけじゃないんだよ。
テーブルに座って向かい合い、数分かけて事情を話した。
全部聞いた後、情報屋の彼女はまずシロナへ言葉をかける。
「なるほどね。まずシロナっちありがとね」
「え?」
「ニルバっちを冷静にさせてくれて。こんなでも、私の命の恩人兼友人で良いカモ……じゃなくてお客さんだからね」
おい。
今なんて言った。
カモって言わなかったか。
ひょうひょうとした態度を崩さないアリッサは、続けて言葉を口にする。
「だって、あの場であたしを呼んで合流なんてことになってたら、その極悪連中とはちあわせしてたかもしれないし」
「……」
後から気付いたことだけど、それに関しては全くその通りだ。
アリッサは元からこの辺りをうろついていたらしい。
だから、早い時間に駆けつける事もできただろう。
けどそうしてしまうと、人質を取っている状態を目撃された連中が、彼女に対してどういう行動にでたのか分からない。
最悪、アリッサも危険な目に合っていたかもしれないのだ。
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