第109話 拠点探し
十数分ほどかけてぱっとフィールドを歩き回ると、アリッサが反応する場所があった。
「あー、なるほどね。やっぱり」
彼女はわざとらしくふむふむ頷きながら、腕組みのポーズ。
「何か分かったなら、さっさと教えてくんない?」
したり顔で頷くだけなら誰でもできるから、その情報をさっさと僕等にも開示してくんない?
ジト目で視線を送ったら、誤魔化し笑いの後で説明が返ってきた。
「ちょっと前までのありふれた無法者集団だったら、考え無しにプレイヤーをおそったりちょっかいかけたりした後、すぐに遠くに逃走……が典型的な行動パターンだったんだけどね、知恵がついてきたみたい。バグが起きている場所を見つけて、拠点を作ってから行動してるみたいなんだ」
何それ、
聞いた事が無い話だ。
シロナの方を窺うと、僕と同じく初耳だったようで目を丸くしている。
「それ、本当なんだろうな?」
「こんな事で嘘つかないって、ついでに情報料も取らないよ。人の命がかかってるしね。最近になって流行り出した手口だから、知ってる人はまだ少ないみたい。引きこもりのニルバっちが知らないのは当然でしょ?」
他人からそんなに堂々と、引きこもりの事を指摘されると複雑な心境になるけど。
ともかく。
攻略組として最前線で戦ってきた時も、それなりに無法者たちとは対峙した事があったけど、当時のやり口と同じだとは思わない方が良いって事か。あの頃は、バグを利用するような奴等なんていなかった。
だって普通に考えて怖いじゃん。
そのまま電子世界のどこともしれない場所にふっとばされたりでもしたら。
慣れ、なのかなぁ。
攻略が停滞してきて、現状が長引きそうだから嫌でも順応しなくちゃいけないみたいな。
いやな、変化だ。
そんな風に、無法者達の変化について思いを巡らせている僕と違って、シロナはバグそのものについては、あまり知識が無いようだった。
「それで、そのバグというのはどういった物なんですか」
「色々あるよ。アイテムが消えちゃったり、通行できないはずの所に行けちゃったりするのとか。でも、今回問題になってるのは、たぶんモンスターポップキャンセルバグ。通称MPKBだよ。長ったらしい言葉でしょ?」
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