第85話 ブルーフォール



 天空の大地 ブルーフォール


 なりゆきで、アリッサと一緒にお昼ご飯をたべて空腹を満たした後は、煩い情報屋と別れて転移台へと向かった。


 で、どんな感じだって?

 新しいフィールドに行けるようになったって情報が広まってたせいもあって、すごくとっても賑わってたよ。


 どこが景色でどれが人なんだか。

 ていうかもはや人ごみが景色?


「人多っ……」


 転移台に乗る前から薄々分かってた事なんだけどね。

 やっぱりいるよ。わんさといるよ。

 他のプレイヤー達が。


 楽観主義者してるわけじゃないからさ、そういうのは分かってたけど……。


「うわぁー…………」


 それにしても多い。多すぎる。

 引きこもりが引くくらい多い。


 何なの、皆そんなに暇なの?

 そんなに息抜きしたかったの?

 それとも観光したかったの?


 家にいた方が快適だし気楽でいいじゃん。


「わぁ、たくさん人がいますね」


 隣にいるシロナが感嘆の声をあげるけど、どこにそんな要素あるのと聞きたい。

 景色が人で全部埋まってるくらいじゃん、こんなの。どこに感動する要素があるの?


 人が集まったくらいで喜べるなんて、あたまおかしい。


「来るんじゃなかった、来るんじゃなかった、本気で来るんじゃなかった」


 家に帰りたい、引きこもりたいよ。


 あーあ、このまま空気にとけて消えちゃいたい。


 頭をかかえてぶつぶつ呟いていると、シロナの心配そうな声。


「ニルバさん……」


 やめて、何その声。

 茶化すでも、呆れるでもなく、そんな心配そうな声で話しかけないでよ。


 それじゃあなんか僕がすっごく情けない人間みたいじゃないか。


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