第86話 集合場所どうする?



 どうにも我慢できそうになかった僕は、ステータスウィンドウをひらいて、今身につけている装備品をチェンジ。

 体をすっぽりと覆う、深めのローブを着こむ事にした。


 うん、ちょっとだけ落ち着いた。


「あの……、もうちょっと人が少ない時にすれば良かったですね。ごめんなさい」

「僕のこれはちょっと、あれだよ。人ごみに酔っただけだから」


 確かに迷惑だって思うところはあるけど、ね。

 引っ張られた原因はシロナにあるけど、ここで彼女のせいにするほど僕の人間性は腐ってないから。

 彼女の意見に同意して、外に出てきたのは、あくまでも自分の意思なわけだし。


「だけど、それにしたって、人多過ぎでしょ。いつもこんななのか……」

「気を抜くと、はぐれちゃいそうですね。どうしましょう」

「何が?」


 え、それって手を繋いで「これでもう大丈夫ですね」みたいな事するの?

 いや、それってどうなの。


 そんな簡単に提案されると驚くんだけど。

 もしかして、今回も弟にするアレ?

 僕、男として見られてないの?


 いや、別に見られたいわけじゃないんだけど……。


 色々と複雑なんだよねー、それ。


「はぐれた時の合流場所きめとかないといけませんね」


 あ、そっち。


 一人であれこれ考えたのが馬鹿みたいだ。


「別にここで良いんじゃないの? 転移台の前しゅーごー。はい、会話しゅーりょー!」

「あれ、ニルバさん。怒ってませんか?」

「怒ってないってば」

「でも、怒ってますよね……?」


 だから怒ってないったら。


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