第42話 アリッサの事情



 というわけで、いかにマズい状況かを話し終えた後、「シロナは宿にでもこもってなよ」と伝える。

 ここに来る前に途中でエンカウントしたザコモンスターをやっつけたから、例え所持金がすっからかんだったとしても、今なら最低限の宿代くらいはあると思うし。


 けれど、記者のアリッサの事を聞き終えたシロナは、何やら焦った表情になって慌て始めた。


「た、大変、早く水晶草を届けてあげないと」

「え?」


 ちょっと。

 何言ってんの?

 水晶草が必要なのはシロナなんじゃなかったの?


「アリッサさんは今どこにいるんですか!?」


 今までに見た事もない剣幕で質問されて、事情を尋ねてる暇もない。


 とりあえず、繋がりのあるプレイヤーの居場所が分かるフレンド機能を使って、調べた事を伝えた。


 アリッサは、町の中を移動しながら、雨の日イベントの情報をかき集めているようだ。


 その事を伝えると、シロナは顔を手で覆った。

 途方にくれてるみたいだ。


「そんな、アリッサさんは水龍に呪われているのに」

「え、はぁ!? どういう事だよそれ、呪われてるって、それは君じゃないの!?」


 だって、アリッサの奴。

 カルディオーレの町で会った後、シロナが困るって言ってたのに。


「私ですか? 私はなんともありませんよ。アリッサさんが情報収集の際に水龍に呪われてしまったので、むしろ探していたんですが……」

「あー、嘘でしょ。そういう事?」


 つまり、こいつは自分のためなんかじゃなくって、友達のためにあんなダンジョンに一人でのりこんだ、と。


 よーく分かった。

 こいつ馬鹿だ。


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