第38話 追いついた人、もう一人



「仕方ねーな、ちょっと様子を見るだけだぞ」


 やっぱりというか。

 たっぷり十分もかけて話し合った結果、彼等は扉の内側を覗いてみる事にしたらしい。


 扉の向こうを見る意見押し中……のおばさんに全体の意見が引っ張られた感じ。


 彼女等は手に持っている水晶草らしき物体、綺麗な草をアイテムストレージに詰め込んで、武器を握りしめる。


 足元にちょっと一本だけ同じのが生えているのを見て、僕がとる分だけはありそうだと、安心。


 でも、さすがにこれ以上黙ってるのは寝覚めが悪い。


 ぶっちゃけどこでくたばろうと自業自得なんだけど、目の前で死なれたら寝覚めが悪いっているか、枕元に立って因縁つけてきそうだし。


「――」


 だから、僕は隠蔽効果が切れるように、声のボリュームを意識して言葉を発しようとしたのだが。


「ま、待ってください!」


 そこに、彼女がやってきた。


 全身白づくめの少女。

 シロナだ。


 ……。

 ……はぁ!?


 え、ちょっと待って、何?

 何でこいついんの?

 一人?


 見まわしてみるけど、他の人影はない。

 ホントに一人だよ。

 回復魔法専門でしょ?

 何やってんの?

 

 ここがどういうとこか分からないわけじゃないだろ。


 僕が隠れている事も知らずに、僕の目の前を通り過ぎていくシロナ。

 どこに向かってとか、わざわざ言わなくても分かりきっている。


 シロナは、あのおばさん達の前に立った。


「それ以上奥に進むのは危険です。私がパーティから別れた時から、あまりレベルが上がっていないのなら、このまま奥に進むと負けてしまうかもしれません」

「なに、シロナ? えっ、シロナぁ? 何であんたここにいんの?」


 僕とおなじ感想をいだいたらしいおばさん達は、僕と同じような事を口で言って驚いていた。


 そうだよね!

 そういう反応になるよね!?


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