第37話 追いついた
途中でちょっと強めのモンスターと遭遇する予想外の事が起きたけど、やっと追いついた。
おばさん達の話し声が聞こえて来て、意識を傾ける。
隠れられそうな所がないので、隠蔽効果が発揮される速度を維持しながらゆっくり近づいていった。
「だから、こんだけ生えてるなら、奥の方ならたくさんあるに決まってんじゃん」
「そうとは限らねぇだろ、手ごわいモンスターがいたらどうすんだよ」
「でも、レアなお宝手に入れば、金になるし自慢できるだろ」
「ちょっとのぞくくらいなら、いいんじゃねー?」
あの面倒くさそうな性格のおばさんと、男が三人。
彼らはある扉の前でもめている様だった。
盗み聞くに、何やら扉の奥に進もうか、進まないかの二択で迷っているらしい。
僕の意見としては、
ボソッ「馬鹿じゃないの」(小声)
の一択だった。
彼等の技量を見るに、尾行に注意を払いさえしないあんな注意力ガバガバな人間が、ダンジョンの中にある見るからにあやしい扉の向こうに行って、無事でいられるはずがない。
自分の力量のなさも分からないどころか、それなりにできると勘違いしてる馬鹿なんだきっと。
やばい、すんごいめんどくさい。
「だけど、水晶草はこんなにとっただろ。これ以上歩くのは疲れちまう。ただでさえ、ダンジョンのモンスター共と戦闘して疲れたってのに」
「はぁ? 男のくせにこれぐらいで疲れるとか、根性なしね」
僕の気も知らずに(あたりまえだけど)彼らは盛んに意見をぶつけ合わせる。
もう展開なんて分かり切ってるんだけど、たぶん無謀にも扉の向こうに突進していくんだろうけど、やっぱりほら人としてそういうのは待たなくちゃいけないっていうか。
ちゃんとあとくされなく馬鹿にするためにも、そこまで会話が進むまで待ってあげなきゃいけないていうか。
あー、でも、過程なんてどうでもいいから、さっさと決めて。
君達の意見でこの後とる行動が変わって来るんだからさ。
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