第29話 隠しスポットみっけ



 とりあえず、話し声が十分に聞こえるくらいの距離を維持しながら、おばさんへと接近していく。


 顔を見られると面倒だったので、念の為に、気配を遮断する隠密効果のある装備をつけて。


 フィールドに出てくるんだから、一人のはずはないと思ってたけど、やっぱり他にもいたみたいだ。


「でさ、こんなところに隠しスポットがあるなんて、驚きじゃん」


 おばさん達がいるのは、何の変哲もないフィールドなんだけど、足元には一つの岩が転がっている。


 ちょうど腰かけるのには良いサイズかな。


「誰も知らないんだよ、これ。あたし達が一番って超ラッキー」


 どうやら話題にしている隠しスポットとやらに気が付いたのは、おばさん達が初めてだったらしい。


 よりによってあんな性格悪そうなのが……。


 隠しスポットっていうのは、通常の手段じゃいけないフィールドの事だ。


 隠されている場所だから、隠しスポット。


 分かりにくい所にあるのが普通で、見つけるのは大抵苦労する。

 でも、苦労しただけの成果が得られるから、話題になる。


 普通のフィールドより良いアイテムが手に入ったり、素材が集められたりするから。


 今までに隠しスポットが見つかった事はいくつかあるけれど、それらはもっと中級者や上級者向けのフィールドにあった。

 こんなに初心者の行動圏に近い所に見つかったのは、初めてかもしれない。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る