第23話 天気予報士?
「何で分かるって言われても説明しづらいなぁ。こんな職業やってるもんだから、天気には詳しくなっちまうんだよ、分かるだろ?」
「いや……」
確かに理屈は分かる。
雨降ってる中わざわざ外を歩きたがる奴なんてあんまりいないだろうし、船を漕いでいくのもきっと面倒だ。
だから否が応でも天気に詳しくならざるをえなかったというのは分かる。
でも、それは現実の話であって、この世界の話ではない。
ここは、考えるまでもないが仮想世界だ。
作られた世界。
感触はリアルのそれとは比べ物にならないし、美味しい料理を食べた時もそれと同じ。唯一、素材の見た目だけは凝っているけど、天気まで現実と同じようになっているってことはないはずだ。
だって実際の天気というものは、湿度や温度とか風邪向きとかが密接に関わって来て、今だに完璧な予報が出来ないでいるんじゃないか。
だというのに、仮想世界で天気予報みたいな真似事ができるはずがない。
「はは、兄ちゃんの考えてる事ももっともだけどな。意外とこれができる奴は少なくないんだぜ」
「え、マジで?」
思わず敬語を忘れてしまった。
「どういう理屈かは知らねぇけど、雨の日には雨の日の雲、晴れの日には晴れの雲がな、ちゃーんと見上げればあんだよ。このゲームの開発班には、天気に詳しい奴でもいたんじゃないか。もしそうだとしたら、そいつは相当物好きな奴だな」
目の前のおっさんが嘘をついているようには見えなかった。
出会ったばかりの人間を、適当なホラで惑わしてからかうような人間にも見えない。
とすると本気で、おっさん天気分かるの?
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