第22話 竜の姿なんて見えないんだけど
しかし、竜の姿なんてどこにも見えないじゃないか。
アリッサの奴、でたらめ喋ったのか。
いやでも、曲がりなりにも情報のやり取りでお金を得てるわけだし、すぐにばれるような嘘を何の意味もなつくわけない。
だとしたら、住み着いてる竜は一体町のどこにいるんだろう。
ざっと見まわしてみても、それらしい影は見当たらない。
町の中は至って普通、見たところ平穏の見本のような光景しかない。
「はぁー」
「おう、どうした兄ちゃん、ため息なんてついたら幸せが逃げちまうぜ」
「いえ、ちょっとうざい仲間の事について考えてただけなんで」
町を各所を移動するなら、歩いて行くより水路を進むゴンドラに乗った方がいい。
というわけで、利用したゴンドラの上でため息ついてたら、船頭のおっさんにはなしかけられてしまった。
面倒くさいな、そっとしておいてくれないかな。
「はっはっは、うっとおしいと考えられるだけ幸せなもんだ。本当に可哀想な奴に絡んでくる奴なんていねぇんだからな」
ほら、そうやってすぐ要らないお世話してくるし。
だから年上は好きじゃないんだよ。
まあ、かといって年下の子供なんて嫌いだし、同年代でもアリッサみたいなのがいるから嫌なんだけど……。
「お、今日は珍しく雨が降って来るみたいだな」
しかし、空を見上げて行ったその発言には少なからず興味が湧いたので、話しかけていた。
「何で分かったんですか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます