第15話 何かあるかなと思って
「というか、いつまで僕についてくるつもり?」
僕は、一向に別れを切り出すでも、離れるつもりもないシロナを見つめる。
広場の人通りに逆らって移動してきているところだけど、二人で歩くのがめんどくさくなってきた。
ほら、だいたい横に広がって歩いてると、他の人間の通行に迷惑だしさ。
全然どうでも良い事だけど。
「さっきのおばさんの言い方がむかついてきたから、君をひっぱってきただけだし、それ以上のお節介とかするつもりないんだけどこっちは」
「ご、ごめんなさい。その……、他に何かお話でもあるのかなと思って……」
僕は思わず天を仰いだ。
どこまで真面目なんだ。
ひょっとしたら天然も入ってるかもしれない。
この子って。
ここまでくると真面目馬鹿といってもいいのかもな。
てっきり、これから一人で放り出される心細さゆえについて来てるかと思ったら。
嘆息しながら、シロナに言葉をかける。
「他に話なんて別にない」
「ない、ですか?」
「そうだよ、話す事なんてもうないから。ほら、もうどっかいっていいよ」
「ええと……」
なんて、言われてもそう簡単に切り替えて、そうですねと言える人間はそうそういないだろう。
「はぁ……」
今更だけど、何でこんな事やってるんだ僕は。
うっかり慣れないお節介焼いたのがいけなかった。
知らないフリをしていけばよかったのだ。
シロナを助けるところまではいい、それだけならまだ良かった。
この世界でライフがゼロになったら、現実でも死んじゃうんだから、そこは助けてしかるべきだろう。
いくら引きこもりしている人間不信のプレイヤーでも。
問題はそこから先。
シロナの問題なんて気にしなければ良かった。
家になんて呼ばなければよかったのだ。
同じ釜の飯がなんとやらって言葉もあるくらいだし、ペットみたいな情でもうつってしまったんだろう。
ほら、なんかおどおどしているとことか遠慮がちなところとか、拾ったばかりの捨て猫とか借りたばかりの猫みたいじゃん。
だからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます