第14話 メリットのない距離感
「あ、あの……」
並んで歩いていると、隣から遠慮がちな声が聞こえて来た。
シロナが何か、言いたそうな顔をしている。
たぶんさっきの事についてだろう。
でも、僕はあえてその先を聞くまいと、言葉を遮った。
「何? 別に無理矢理に理由とか君の個人情報とか、聞きたいとか思わないから」
「え?」
「というか、皆が皆他人に興味があるとか、知りたいだなんて、そういうこと思わないでくれる? 僕は別に君の事情なんてこれっぽっちも興味ないし、首を突っ込む気もないから」
「えっと、そういう意味じゃ……」
シロナは慌てて弁解を始める。
「違うんです、私はただニルバさんに隠し事とかしたくないと思って」
別に、つい先日会ったばかりの僕に嫌われる事なんて、気にしなくてもいいだろうに。
そんなだから付け込まれるんだよ、君は。
僕は、自分でも刺々しいなと思いながら言葉を吐き出す。
「助けて欲しいとか思わない方が良いよ」
「……え?」
「人の助けなんて当てにしないないがいい。そうじゃなくても、悩みを聞いてもらうだけで楽になるかも……とか、そういうのも考えない方が良い。人に相談したって変な問題増やすだけでしょ? 自分一人で悩んで解決していった方が、ずっと楽だ」
「そんな事……」
シロナは不満そうだ。
けど、それが僕の正直な気持ちだからしょうがない。
「ニルバさんは、ずっとそうやって生きてきたんですか?」
疑問を形を成したそれには、すがるような感情が含まれていたけれど無視した。
僕がシロナと同じ意見である事にメリットを、あまり感じられなかったからだ。
「そうだ。生憎と今日までそれで、ちゃんと生きて来られてるしね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます