第8話 女の子の手料理って地味にうまい



 女の子の手料理って、女の子が作る事で格が何倍もあがるよね。


「へぇ……」


 筋肉ムキムキのむさい野郎が作る料理なんかが食卓にあっても何とも思わないのに、良い感じの年頃の、良い感じの見た目の女の子が作る料理って、なんでこう格が違うんだろう。

 キラキラして見えるっていうか、何かドキドキするっていうか。後はワクワクもするかな。


 品物はどれも簡単なもので。卵料理と汁ものと野菜の炒め物があってご飯があるだけ。

 でも、女の子お手製だ。


「食べて良い?」

「え? はい、もちろん。ど、どうぞ……」


 シロナが見守る中で、作れらた料理に手を付ける。

 僕が食べたのを見届けてから、彼女は行儀よく手を合わせて「いただきます」をする。

 お利口さんってやつか。


「あのー、どうでしょうか?」


 食卓に並べられた料理をかき込んだ僕は、シロナの言葉に親指を立てた。


「はぁ、ありがとうございます」


 控えめな反応だ。

 はっきり言葉で表すのも照れくさいんだよ。

 この気持ち分かってもらわないと、困る。


 いや、別にそんなに困らなくもないかな。


 とにかくただのデータに過ぎない料理に、+アルファの食欲と美味さを感じながら食事を目いっぱい堪能させてもらった。


「ふぅ、久々に人が作ったもん食べたよ。ごちそう様」

「いえ、こちらこそ、泊めていただいたお礼ですから」


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