第9話 町までご一緒に



 昼食を作ってもらって、それを食べた後は、シロナを最寄りの町まで送る事にした。


 いくら一泊だけの約束とはいえ、家から放り出して回復要員一人をフィールドでさ迷わせるのはさすがに躊躇う。


 ちょうど町で買い物もしたかった事だし、シロナと一緒に向かう事にした。


 白ずくめの少女を隣に歩かせながら、マイホームから出てフィールドを歩いていく。


「今日も良い天気ですね」

「まあ、イベントでもないのに嵐にしたり雨にしたりする利点はないしね。大規模な何かが起きない限りはずっと晴れなんじゃない?」

「現実でもずっと晴れだったら、お洗濯に困らなさそうで良いんですけど」

「代わりに水不足で悩みそうだけど……」


 雑談を交わしながらゆっくり歩いていく。

 周囲にたまにモンスターが寄ってきて戦闘になったりもするが、ここら辺は僕よりも全てレベルが低いモンスターばかり。

 なので、楽に倒す事が出来た。


 こんな風にのんびり他のプレイヤーと歩いたのなんて久しぶりだ。


「ていうか、リアルでシロナって一人暮らししてるの?」

「え、はいそうですよ。高校の寮に入って通ってたんです」

「そこまで言う? あんまりリアルの事は言わない方がいいよ、帰った後で面倒だし」

「あ、そうですね」


 デスゲームになったこの世界での因縁を万が一にでも、向こうのリアルに持ち込まれても困る。

 今ここにいる自分はアバター姿なので、現実にいる自分とは異なる姿をしているが、何の拍子で個人を特定されるか分からないから。



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