第7話 さすがに二泊は無理なんで
翌日。
朝は遅い派だから、一度目が覚めた後もいつものように布団の中で二度寝したかった。
だが、奇妙な訪問者の事が頭をよぎったので、眠たい頭を渋々抱えながら起き出す。
それでリビングに向かうと、シロナがすでに起きていて何やら考え込んでいる様だった。
「おはよう。さすがに二日も泊められないから、今日は出てってくれる?」
「あ、ニルバさん。おはようございます。そうですよね……」
起き抜けにひどい一言言ってると思うが、そういうとこきっちりしておかないと、後あと困ると思ったのだ。
「すみません、一泊だけでも泊めてもらってしまって」
シロナは大人しく引き下がった様だ。
「代わりに朝食を作らせていただきたいんですけど、いいですか」
で、お礼までしてくれると。
何だよ良い子ちゃんかよ。
そこまで潔くされると、まるでこっちが悪いみたいに思えるじゃないか。
「まあ、いいよ。僕あんまり料理は得意じゃないしね」
「ありがとうございます。キッチン使わせてもらいますね」
一瞬そういう作戦で情を掴む魂胆かと思ったが、そうでもない事は彼女の表情を見てよく分かった。
笑顔で言ったシロナはさっそくとばかりにキッチンの方へ向かっていく。
「はぁ……」
他人との会話なんて慣れない真似したせいで、朝から疲れてしまった。
それに、これが相手が悪人とかだったなら、少ない良心も痛まなかっただろうに。
苦手なんだよな。良い奴って。
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