1.9 事前準備2

 外周を一通り周り、安田がこちらをみて、サインを送る。

「そろそろ行きましょう。入り口はこれですよね。」

マンションの扉は4桁のデジタルロック錠とシリンダー錠の二重鍵になっている。


「鍵は複製していない。基本は誰かが中にいて、開ける形でいいと思うがええよね?」

一同が頷く。


マンションに入ると左手にはマンションの階段が、すぐ横にはエレベーターがあり、右手には先程のバーへ続く廊下があることが確認できる。

「俺たちは最上階のペントハウスを広々と使う。」

そういって吉岡はエレベーターが動作することを確認した上で階段で最上階へと上がる。


「マンションの廊下で電気を使ってなかったら、さすがにこの時間は不気味っすね。なんか出てきそうなんすけど。」

「まあ、その可能性はないとはいえへんかもなぁ。」

「ひとまずは部屋に着いて、やること終えたら、各フロアを探索していこう。マンションの内部もモデリングしたい。」

安田の提案に皆しつつ、スマートフォンのライトを使って最上階まで行く。ゴーストマンションの明かりが外に漏れると、周辺の住民も怪しむためだ。


 最上階につき、スマートフォンのライトを照らすと、そこには一つの長いテーブルと椅子が数脚、カウチソファーが一つ、オープンキッチンにバーカウンターがあることがわかった。さすがといっていいべきか、芸能人様様だ。ここで、薬物もやっていたのかと思うと、少し笑えてくる。


 少し埃っぽい感じもする。大きな遮光カーテンがかかっていることを首藤が確認した。

「まずは窓をあけて空気を入れ替えよう。」

首藤が窓を開けようとすると、その先は広々としたウッドデッキになっている。

「おおおお」

「何ここ」

「めっさええやんけ」

マンション敷地の半分近くを広々としたウッドデッキになっている。雨風でベンチが汚れてしまっているが、洗えば十分に使える。


「ほんと、こんなところ提供してくれたの誰なんですか?」

「まあ、それはまだ内緒や。」

周りを見渡すと、月島や有明の高層マンション、レインボーブリッジも見渡せる。まだ仕事をしている人達も多いのだろう。

「この場所を使うためにかかっている費用もそこそこかかりそうですけどね。」

「せやなぁ。盆休みだけといわず、ずっと住んでみたいけどな。」

「さあ、そろそろ明日に向けたインフラのセッティングをしようか。デッキの状況はまた明日の朝にでも確認しよう。」

「オーケー。取り掛かろうか。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る