1.7 前夜の待合せ
盆休みの前日の夜、仕事を終えた吉岡、首藤、桐谷が豊洲駅に集まった。普通に仕事を終えたクールビズ仕様のサラリーマンといった格好である。各々がノートパソコンを携えたジャンパーバッグを持っている。
吉岡は腕時計を見た。午後10時を過ぎたところだ。
「他のメンバーもそろそろですかね?」
桐谷は吉岡に訪ねた。駅の方を見た吉岡は頷いた。
「コンビニで酒でも買ってこようかな。」
と首藤が言ったときに、ちょうど東京メトロの階段からあがってくる3人の人影を吉岡は見つけた。あちらもこちらを見つけて手を振っている。
喜連川、
「数日ぶりですー。」
「はじめまして。」
「どうもでーす。」
喜連川、安田、加川が各々挨拶をしてくれる。吉岡は久しぶりに安田、加川と会うことになる。ぐっと握手を交わす。
「安田と加川はVRが得意でな。安田はバーチャルキャストに必要となるモーションキャプチャや表情認識などのプログラミング実装や3DデータからCGへの落とし込みが得意やったりすんねん。」
安田は鼻をぽりぽり書きながら会釈した。
「安田といいます。仕事では実はSOCエンジニアもやっていまして。ログの可視化や分析もやっていたりしますので、少しばかりはセキュリティかじっていたりします。」
桐谷はそれを少しばかりというのだろうか?と首をかしげてみせる。
SOCはSecurity Operation Centerの略で、企業における情報システムへの脅威の監視や分析を行う役割や専門組織を表す。読み方はソック。
「加川はバーチャルキャストでの配信をやっていたりする。あとはカメラの撮影が得意なんやけど、IoT機器を使った撮影が得意だったりすんねん。見せてもらったものでドローンを使った空撮とか、センサーと連携させた盗撮とか。」
加川はドヤ顔で鼻息を荒くしてみせる。
「加川です!仕事ではセキュリティなことはやっていないですけど、紹介いただいたとおり、趣味でバーチャルキャストしてます!あとはカメラの撮影が得意で、どんなタイミングであってもシャッターチャンスは逃しません。」
「IoT機器を使った撮影は先に出たもの以外にどんな方法がありますか?」
「一般的なノートパソコンに搭載されている内蔵カメラとかはIoT機器じゃないですが一応。あと、部屋に備え付けられたIPカメラとか。小型化したカメラを無理やりマイコンにつないで撮影とかも出来ますよ。」
首藤は話を聞いてニヤリとした。吉岡はさては何か企んだな、と首藤の横顔をみてそう思った。
「今日から集まれるメンバーはこれでそろったし、用意できるもんはさっさと用意してまおうか。」
吉岡は皆の顔を見渡して、マンションに向かう。
「あ、これ、皆さんに差し入れっす!」
加川はスーパーの袋から、見慣れないラベルの6缶パックのビールを取り出してみんなに渡した。
「俺、ここのクラフトビールが好きなんで、よかったらマンション向かいながらいっときましょうよ!」
そういって、プルタブをプシッとした加川は空に向かって缶を突き上げて、叫んだ。
「うぇーい!」
みんなつられて、叫ぶ。
「うぇいうぇーい!」
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