糸結び
薄茶色の毛布に身を包んで
君は闇夜に兆しをうかがう
わたしたちの指はいつの間にか離れてしまう
微熱のような点滅
虚空を移ろう天体衛星
命を満たしてくれるような兆しを
離れてゆく星々を隔てる永劫の真空へと
発光信号は送られ続けるが
強引なばかりの一方通信に君はあきれ顔で去っていく
むしろ互いに疲れてしまう
だったら別れたほうがいいのかもしれない…無意識がひそめく
納得など存在しない
ただ疲れが二人を引き裂いた
だれも納得して別れた人などいないのだ
絡まったままの糸をほどくのがめんどくさくて鋏で切ってしまった
そうやって、でも
やっと自由になったのに、何一つ不自由なまま
よく見れば、ばらばらになっても相変わらず絡まったままの糸
問題は自分にあったのね…君はつぶやく
互いが煩わしく感じたが
糸は自分の身体に絡まっているのであって
二人の間で絡まっているのではないのだと
仲直り
でもしこりは残る
切っちまったもんはしょうがない
結びなおせば結び目も残る
それってつまりなんだろうか
無数の細い感情をより合わせたら太くなった
お互いに沢山の感情をがんじがらめだか何だか知らないが、とにかく結んだのだ
不格好だろうが、それでよい
そうやって納得して
不自由を自由に変えて
わたしと君はどこまでゆけるだろうか
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