就寝考

コップを置くと、少年は目を瞬かせた


パソコンはバッテリー切れで静まり返り、窓外の梢は青く染まり始めた


少年は骨と肉の質量をベッドに投げ込む


スプリングに肉体は棒のように跳ねかえされ


着地と同時にマットレスから埃の煙幕が立つ


昨晩のCMがいくぶんの脳裏を回りかけた


重たい頭を揺すって消してしまった


暇だとつい見てしまう


いつの間にかすっかりそいつに奪い取られてしまう


テレビなんていまどき無いほうがいいんだ


小さく毒づく


なにかしら眠気を促進する分泌物が頭に沁みてきて


不安も希望も沼の底に引きずり込まれた


空ではヴォストークが瞬いてる


空気のない永遠の夜空を


金属の冷え固まるトライアングルみたいな音を立てながら


ゆっくりと


ビーフィーターの滴が浮かぶグラスの底に


青白く月も瞬いた

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