眩暈坂


その頬は


塵埃じんあいのごとき小ささで


道の先に笑って居る


僕は駆け出しておもわず接吻したくなる


ああ、塵思埃念じんしろうえん吹影鏤塵すいえいろうじん


そう自らを諫める


眩暈


君を見て動じる僕の眩暈


螺旋の軌道を描いて


あっという間に取り囲む


気が付けば


滄海桑田そうかいそうでん


ふと見やる其処に、君はおらぬ


さて、どこへいったと周り見れば


瞬息万変しゅんそくばんぺん


君は此処にいて、僕を見ている


焦るなよ、と僕は言い聴かす


休心息念きゅうしんそくねん


それこそ大事と


されど瞳の引力はつよくつよく、


まるで道の突然に傾き始めたように


僕は蝸牛かぎゅうの惑うを感じ


ああ、また


眩暈


眩暈


眩暈


これで人生の白線を踏み外す


恋は数学ができない


幾編の詩を読めれども


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