第6話
冷房の効いていた部屋から三十度近くある外へ出ると、芯は冷たいのに肌は暑いと言う、不思議な感覚になる。新しく舗装されたアスファルトから這い上がってくる熱気に嫌気がさす。
そしていつもの道を通り、電気屋の向かいにある、国道沿いのコンビニでペットボトルのコーヒー、そして合わせて買うと安くなる食品を買い、家を目指して再び歩く。紫外線が、露出している頭皮と首に浸透してチクチクと痛みがする。
普段の僕は、不健康なほどに青白い肌をしているが、この一週間で健康的な肌色になっただろう。
家に着き、靴を脱ぐ。
玄関からすぐ見えるウォーターベッドめがけ、手荷物を投げる。
玄関横の小さな洗濯機に着衣していた、汗で湿った服を放り込む。
その反対にあるドアを開け、浴室に入り、青色のハンドルを目一杯回す。
シャワーヘッドから溢れ出る水に頭を突っ込み、清涼感のあるシャンプーを手に取り、ガシガシと汗を取り払う様に頭を洗浄する。
最後に、泡立てネットにボデイーソープを取り、体を清潔にする。
これが最近のルーティーンだ。
車通勤だと中々汗をかかないため、シャワーを済ませるのも遅い時間になりがちだった。
浴室から出て、タオルで体を拭く。髪を乾かさずウォーターベッドに寝転びなから、スマホのSMSを開く。
すると、友人から連絡が入っていた。
「今度、南町に派遣で行く事になって引っ越すことになったんだよ。引越しとか手伝ってくんね?確か橋本もそこ住んでたよな。」
菱川 幸樹(ひしかわ こうき)は僕が中学の時からずっと一緒だった、たった一人の友人だ。
菱川は中学の入学式、名前順で前の席だった僕によろしく、と話しかけて以降、何かと僕のことを気にかけてくれていた。
「いいよ。休み合わせるから、日にちわかったらまた連絡して。」
と返信して、仮眠を取るために目を閉じた。
外はようやく日が沈んできたようだ。
ほんの少し開けていた窓から入り込んできた風が、日焼けしたカーテンを揺らす。
そこから差してきた光は、強い橙色だった。
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