上級騎士のエイラと、下級騎士のロタ。
かつて幼馴染だったふたりが別れを経て異なる立場となり、そして皇都で再び出会うところから、物語は動き始めます。
女騎士の百合と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
華やかな恋、蠢く権謀術数、あるいは手に汗握る戦い?
この作品にはその全てが、血の通った人々の営みとして描かれています。
特に、ハレの日である花祭の美しさ、鮮やかさは必見です。それを際立たせるのは冒頭の灰色の空であり、静かで力強い語り口であるのだと思います。
綻び始めた国の中で幾度となく重い選択を迫られ、天秤を傾けながら、それでも本当に望むものに手を伸ばすふたりの姿を、どうぞその目で確かめてください。