第26話「拝啓、雑貨屋さんで見つけたもので……」

 リリィは緊張感から腰が砕けたのか、その場でぺたんと倒れこむ。同時に僕もホッと息を吐く。良かったバレなくて。


「あ、はい。昨日雑貨屋さんで見つけた物で……。そう、最近都市で流行りのケモノグッズだそうです」

 リリィはジッとアミュの目を見ながら言った。アミュは「ふーん」と言いながら、リリィに手を差し伸べる。

「そうなの。だけど、急に倒れるのは危ないじゃない。鉄分足りてるの?もうまったく」

 アミュはリリィの尻尾をジッと見つめる。次第に手が尻尾の方に伸びてきて……。

「きゃふん、ああ、アミュさん……、それはダメです。あぁん、それ以上は……」

 アミュはリリィの尻尾を触り始めた。リリィは身体をビクンビクンとしながら、とろりとした目でアミュを見ている。

「やっぱりモフモフね。まるで本物見たいだわ」


 撫でる手つきがエロい。さすがはアミュさんと言うべきだろうか。いろいろと経験が豊富なのだろうか。


「アミュさんそろそろ、これ以上は私の理性が保てない……」

 次第に、尻尾が赤く染まる。リリィはビクンビクンと身体を揺らし、腰が砕けかけている。

「きゃー。なにこれ、尻尾が真っ赤に染まったわ。構造はどうなっているのかしら?」

 離れる気配がまったくないアミュ、リリィはとろりとした目を通り越して、トロンとした目になっていく。次第に目を薄っすらと閉じながらキスをする体制になっている。

 これは、なんだろう。不穏な空気がビンビンと感じる。僕の身体の中から感じる嫉妬心みたいなものだろうか。アミュさんを取られたくない一心で、僕は……、リリィの太ももに噛みついた。


「痛っいたーーーーーーー。なにするのよ。バカドラ、せっかくいい感じになってたのに。空気を読みなさいよ。バカ」

「バカはてめえだ!バカ野郎が。なに尻尾触られて発情してるんだよ。クエスト受けに来たんだろうが。バレたらダメな案件じゃないのかよ」


 リリィが「は!」と目を見開いた。こいつもしかして忘れてたのか?不穏な空気を感じ取れて良かったのかもしれない。

 すると同時に、アミュの声が聞こえてくる。

「こら!ドラコ!ダメでしょ。また噛んじゃ。もう、ごめんね。リリィちゃん。噛みたい時期なのかもしれないわね。今度ご飯奢るから勘弁して頂戴ね」

 アミュは僕にコツンと痛くない程度で頭を拳で叩く。その後に、申し訳ない顔をしてペコリとリリィに頭を下げて謝っていた。

「いや、大丈夫です。これはこれで満足したので。ハアハア、また同じようなストラップ見つけたらプレゼントしますよ」

 リリィは頭を三回ほど頭を振り、頬を手でパンと叩いた。冷静さを取り戻したようだった。

 アミュは「そうなの」と言いながら、尻尾を眺めていたが、リリィはトイレに行くと言って帰ってきたころには尻尾はなかった。

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