第4話「拝啓、金髪の彼女の名は」
ちゅんちゅんと鳥のさえずりが聞こえてくる。目を開けるのがつらい。まだ寝ていたい。
だけど昨日は助かった。アスナが言っていた転生者はこの人だったんだろうか?肝心な時に助けてくれたし、あの人っぽい気がする。まだ確信は取れないけれど。
僕は目を開けると、目の前には昨日助けてくれた金髪の女性の顔がすぐそこにあった。
「あれ?なんで僕ベットでいるの?もしや、僕の純白を……」
「うーん。ふぁ~よく寝た。ん?やっぱりかわいい。ベットに連れてきて良かった」
頬を擦りつけてくる、ぎゅーと抱き着いてきた。ああ、人間の時にやられていたら、一瞬で心を奪われていただろうな。
よく見ると顔も整っていて可愛かった。これは得したのかな。少しばかりにやけてしまう。男(オス)だし、分かってくれるだろう。
ただ、こいつ僕が元人間ってことを知ったらどうなるんだろうな。
「髪を下ろしている姿も素敵ですが、いつぞやのポニーテール姿は至福でした。素晴らしいです。僕は大興奮してます」
僕は鼻をこすりながら、鼻血が出ていないか確認した。目の前に居る彼女はニコリと微笑んだ。
「そっか、お腹空いているのか?ちょっと待ってね、今ミルク出すからね」
ルンルンとベットから飛び起きると、キッチンの方に向かっていく。
「相変わらず伝わってないな。仕方がないな。はー、ため息が出るぜ。まったく」
あくびをしながら、牛乳が入った器を、ベットの下、僕の目の前に置かれた。
「さあ、どうぞ……、うーん。名前どうしようか?うーん、ドラゴンだし、ドラコでいいか。うん、良いね。よし決まりだわ。君の名前はドラコだね。ドラコ、ずっと居てもいいからね」
僕の頭を撫でてそう言った。僕の名前はドラコになったらしい。もうペットだな。何とかして龍太って覚えてもらえないだろうか。ああ、この感じは無理だろうな。
だけど、家があるのは妙に安心感がわく。今はこのままこの世界の状況を把握しないと、またさっきみたいに餓死しかねない。
「まあ、仕方ないよね。ご主人様! 」
僕はベットから降り、犬みたいに尻尾を振りながら、金髪の彼女の足にすがりついた。すると、彼女は僕の頭を撫でた。
「あー。かわいい。もう一度、抱いて寝たい。キスしちゃう。キス。んー」
頬っぺただったけれど、前世からしても初めてのキスだった。かわいい子からのキスならば歓迎、大歓迎だ。ああ、ドキドキしてしまう。
腰近くまである金髪をくくり、ポニーテールにしてから彼女は続けて、
「私の名前はアミュだよ。よろしくね。ドラコちゃん」
僕は最高な時を過ごしている気がした。ありがとう、妹。ありがとう、女神様。
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