記録 その5 / 資料探し

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 図書館を使えるカードを作ってもらえたは良いものの、その過程で、自分の文字がこちらの世界で認識されないものだと知り、私は、この世界の文字を学ばなくてはいけないと思いました。


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「この図書館の使い方が分からなくなったら、さっきの受け付けカウンターに行けば教えてくれるはずさ。てことで僕はこの辺で! 何かあったら、いつでも交番においで!」


「はい。ここまで、ありがとうございました」


私は、ここまで案内して下さった男性と別れ、図書館の奥にある階段を上ります。

金属の棒で支えられている螺旋階段からは、先ほどまでいた大広間の様子が見られ、別れたばかりの男性が、こちらに手を振っているところも見えました。


私は男性に手を振り、それからまた上を目指します。


えー、確か、先ほどの受け付けの女性から、学習にぴったりの本が2階にある、と聞きましたが、見つかるのでしょうか。






螺旋階段を2階まで上りきった目の前。看板がありました。丸みある文字なので、これはおそらく、触れれば何と書いてあるか分かり――あれ。おかしいです。確かにこの手で触れているのに。


なら左手で――良かった、なんとか読めました!


なるほど、右手だと文字は変わらずに映って、左手だと文字が変わって映るんですね……「ことば」の本は左方向のようです。




しゃかい、れきし、それから、いきもの。

確かに、学習にぴったりの本が連なっているようです――ちいき、もありますね。

どれも気になるところですが、これらはまた別の機会に。


今回は、ことばの本棚から、私が読むのに苦にならない、丸みある文字だけが載った本を見つけて、早急に文字を頭に叩き込む事が、最優先事項――あっ、りょうりもあるんですか! 先ほどいただいたおにぎりの作り方がどれかに載っているかもしれません――って!


違います! 今はこれじゃありません!


ですが作れるものは増やしたいですし、この世界の食文化も気になりますから――あ、たまごやき。……鮮やかな黄色、美味しそうです。


ひとまず、この本を手元に。

あと、これも。これも持っておきましょう。誰かが借りてしまう可能性がありますからね。



――――。



さて。見たいものは取りました。

ことばの本棚はこの先のようですから、お目当ての本を探しましょうか……。



うんー、角々しい文字の本ばかりです。

どれも厚みがあって。


中身は――――ある頭文字の言葉を、法則に則って載せているようです。

いわゆるこれは、この世界の辞書ですね。

いずれ必要になるでしょうけど、今の私にはまだ使いこなせる気がしませんね。


他を探しましょう。

次の段は。


丸みある文字とはまた違った文字の本が並んでますね。

表紙、中身を見ると、お目当ての本ではないことが分かるのですが。それにしても、この世界には様々な形の文字があるんですね。



……なかなか見つかりません。


この本棚にあることは確実なんですけど――あっ。


「ことばえじてん?」

中を見てみましょう。



なるほど、言葉と一緒に絵も描かれている辞典なんですね――きる、にもいろんな言い方があるですとか、きょうだい、の反対は、しまい、ですとか。


あぁ、たべもの、もいろいろあるんですね――おにぎりもありますね。

――決めました。これを見て勉強しましょう! 決まったからには今すぐ書く練習をしたいのですが、あいにく今は、紙とペンを持っていないですね……残念です。


ひとまずこの辞典と、手元にある料理本達を借りる手続きをして、一旦家に帰りましょう。


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