第26話
「今宵一夜 咲く華に」
『乱れ咲きする 艶姿』
「捧げる夢の 男意気」
『はい!はい!はい!』
大河とホスト達の掛け合いが最高潮に達した時
ポンという小気味良い音を響かせ、栓が抜かれた。
テーブルに並べられたグラスに、次々と注ぎ込まれていく。
「姫の愛に」
『感謝して』
「一気に飲み干せ」
『シャンパン・コール!』
「それ、一気、一気、一気、一気」
「いただきます」
真柴は、美嘉とグラスをあわせ、なみなみと注がれた
ドンペリを一気に喉の奥に流し込んだ。
美嘉もグラスに口をつける。
「従業員一同、いただきます」
ホスト達も、配られたグラスを一気に飲み干す。
拍手と歓声にまぎれて「もう1本」の声があがる。
お約束の『煽りコール』
「もう1本!もう1本!」
コールが波のように広がっていく。
「美嘉さん!」
真柴が止める間もなく、美嘉は空のグラスを高く掲げ
「黒、もう1本!」
と叫んでいた。
待ち構えていたように、新しいボトルが運びこまれる。
「今夜2回目のシャンパン・コールいかせていただきます」
大河が声を張り上げると、歓声が沸きあがった。
より熱のこもった掛け合い、ダンスが繰り広げられる。
美嘉も、頬を上気させ子供のように瞳を輝かせていた。
2杯目のグラスが配られると、大河が美嘉にマイクを向ける。
「姫、王子に一言お願いします」
美嘉は、にっこり微笑むと
「素敵な夜をありがとう!乾杯!」
それに合わせ、全員が「乾杯!」とグラスを上げる。
2本のドンペリがホンの数十分で消えていく。
大河のマイクが真柴に向けられた。
「王子、姫にお礼の言葉を!」
真柴は黙ってグラスを置くと、美嘉の前に片膝を付いた。
驚く美嘉に艶やかな微笑みを投げかけると、徐に手を取り
深く頭を下げた。
まるで中世の騎士のような姿に、店内の女性客から
黄色い悲鳴が上がる。
美嘉は、潤んだ目で真柴を見下ろしていた。
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