第13話
お昼頃、緊急速報として仲村逮捕のニュースが流れた。
やっぱりあの資料は本物だったんだ。
半信半疑だったところに現実を突きつけられ、あたしはひどく動揺した。
警察発表と捜査調査の内容は見事に合致していた。
警察が逮捕前の容疑者の調書を民間人
―――――それも、やくざの組長に渡すなんてありえない。
裏取引?
それって犯罪じゃないの?
片棒を担がされた気分になって、胃がズゥンと重くなった。
調書の出所をはっきりさせなきゃ!
そう思って、さっきから何度も電話をしているのに
真柴の携帯はワンコールで留守電になってしまう。
事件の情報を持って来いなんて言わなきゃよかった…
後悔先に立たずだけど…まさかこんな事になるなんて。
あれこれ考えているうちに、だんだん気分が悪くなってきた。
あたしの横で、興奮気味にニュースを見ている冴子さんが
うらめしく思え、頭痛を理由に自室に引きこもった。
一人になると、ますます余計な事を考えてしまう。
頭を過るのは、最悪の事態ばかり。
突然電話が鳴った。
急いで飛びつき、着信を確認する。
花菜子だった。
「もしもし、美月」
花菜子の声は少し上ずっている。
「ねえ、ニュース見た?仲村が逮捕されたって」
「そうね…」
気のないあたしの返事に拍子抜けしたようで
「どうしたの?なんかあった?具合でも悪いの?」
と聞いてきた。
一瞬メールの事が頭をよぎった。
花菜子に話してしまおうか…で
も、もしこれが犯罪に関わる事だったら、花菜子まで巻き込んでしまう。
そう思い直し、黙っていることにした。
結局、当たり障りの無い話だけして「また連絡するね」と電話を切った。
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