第11話

新着メールが一件届いていた。

件名は『捜査調書』と書かれている。


開くと、

『極秘資料につき取り扱い注意』の文字が。

その下には『福岡土産は明太子でいいか?』

そして、『追伸 デートの約束忘れるなよ』


何なのこれは?

ゴミ箱に放り込んでやる!


メールを閉じようとした時、PDFファイルが

添付されていることに気付き手を止めた。

まさか、ウィルスメールじゃ無いでしょうね。


恐る恐る、添付をクリックすると

『仲村秀之供述調書』というタイトルが目に飛び込んできた。


仲村って…体育の?

信じられない気持で、調書を読み始める。


そこには、事件当日の仲村の行動が書かれていた。


事件当日、仲村は北川先生の依頼により、宿直当番を交換。

午後7時頃、北川先生より差し入れられたコンビニ弁当を食べた。

数十分後、急激な眠気に襲われ、そのまま眠り込んでしまったらしく

目覚めたのは職員室の床の上。

時計を見ると、午前1時を回っており、あわてて職員玄関の施錠を行い

徒歩で帰宅。

翌朝、午前6時30分、自宅にて身柄確保。


調書の余白には、手書きの走り書きで「容疑を否認」と書き込まれていた。



ファイルの2ページ目は、『北川武 検死結果』

死亡推定時刻は午後9時から11時の間

凶器:校内に飾られていたブロンズ像

死因:左側頭部強打による脳挫傷 ほぼ即死状態



3ページ目は『森村茜調書』


森村茜…?誰?

あたしの疑問に答えるようにその横にはメモ書きが。

「北川武の婚約者」

ああ、噂は本当だったんだ。


結婚を約束した人をいきなり失ってしまった、茜さんの気持ちを思うと

なんとなく読むことが躊躇われた。

どうしよう…

好奇心と罪悪感の狭間で散々悩んだ挙句、ごめんなさいと手を合わせ

拝読させていただくことにした。

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