前編

「な、なぁロイヤル…少し休まないか?」


「はぁ…はぁ…だめよ、コウテイ!この先に可愛いペンギンがいるって話を聞いたのよ!逃げる前にスカウトしなきゃ!」


そう意気込むツインテールの彼女、ロイヤルはうしろを歩き息を切らすコウテイを待つまもなくずがずがと歩いていく。


しばらく彼女の無茶に付き合っているとフレンズが集まってるのを見つけた。


「あれは…なぁロイヤル…って!」


聞こうと横を見るとロイヤルは先程までの息切れはどこに行ったのか、全力で駆け出していた。


「まったく…!!」


急いであとを追いかける。

集まるフレンズをロイヤルは無理やりかき分けて道を作りコウテイはそれに続く。

視界が開ける。

そこにはストレートロングが純真を物語るようなペンギンのフレンズが1羽、驚いた表情で立っていた。


「ね、ねぇ!あなたアイドルやってみない!?」


「お、おい。いくらなんでも脈絡なさすぎないか?」


「コウテイは黙ってて」


「えぇ…」


状況が読めない可憐な彼女はハッとしたように応える。


「えっと…貴方達は…」


「私はロイヤルペンギンのロイヤル!こっちはコウテイペンギンのコウテイ!あなた、とても可愛いわ!だからアイドルやりましょう!」


「あ、あのだからアイドルって何ですか!?ええっとそっちの人助けてくださぁあああい」


普通に可哀想だと思ったコウテイだったがその目で「すまん」と伝えると戸惑う彼女は悲鳴をあげた。


「そ、そうだ!君の名前はなんていうんだ?君もペンギンなんだろ?」


流石に気の毒になったのでコウテイが話題を変えようとする。


「えっと、ジェンツーです。ジェンツーペンギン」


するとその言葉にロイヤルは更に目を光らせる。


「なら貴方はジェーンね!!」


「えええ!?勝手に決めないでくださいよー!」


「いえ、貴方ならきっと…!」


「無理なんです!!」


突如として大声をあげた彼女にその場が静まり返る。


「私は…空っぽなんです。前から、そしてこれからも…」


そう言ってジェンツーはその場から走り去ってしまった。

どこかで見たことあるなとコウテイは感じた。


「なによあの子」


「いやロイヤルが言えないんじゃ…」


言いかけて怖い顔を察してやめた。

よし、と呼吸を置いて追いかけようとした時だった。


「ちょっと貴方達いったい何なの?」


「ジェンツーさん、困って逃げちゃったじゃない!」


先程までジェンツーを囲んでいたフレンズ達が私たちを囲んでいた。


「まずくないか…これ…」


「え、えーと…」


冷や汗を流す私たちを彼女達は逃がす気はなかった。

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