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親の心子知らず(四)」への応援コメント


  • 編集済

     あの憎くてたまらなかったランジェリーさんを、憎かったからこそ、アントワーヌさんはよくよく観察していたのでしょう。

     その過程で、彼のよい点も見つけていたようです。
     思いもよらないところで、その時の記憶が役に立ったのでした。

     おかげでランジェリーさんが、ナタニエルさんに貢献できました。かつての敵に花を持たせたようです。

     なんとも、粋ですね。


     フロレンスさんの登場は、読み手である私には予想できませんでした。
     彼女の言動から、どれだけ迷惑をかけていたのかが、具体的に示されました。これがナタニエルさんにとって、反省する方向性が正しかったと裏付けになったと思いました。

     より反省の気持ちを強めたことでしょう。


     そして、フロレンスさんの登場について、もう1つ。
     おそらくアントワーヌさんとフロレンスさんが、王都を出発しようと思った時刻には大差がなかったことと思います。もしかしたら、同時に発ったのかも知れません。

     ということは、アントワーヌさんが意識的に一人早馬を使ったことになります。
     早く息子に会いたかった、無事を確かめたかったという焦りでしょうか?

     いいえ、私は母親抜きで息子と話がしたかったのだと思いました。
     まずは自分の言葉だけを伝えたかっただと。

     それが、前述した実の父親のことでした。

     そして、そこはペルティエ領とはいえ、ランジェリーさんの両親が暮らす家です。フロレンスさんの複雑な想いを汲(く)んで、一人先行したのかも知れないとも思いました。


     前回でナタニエルさんの気持ちにはケリがついていたので、もう1話あるのはどうしてなのかな? と、思いましたが、なんとなく分かりました。

     前回は父子との家出の終息であり、今回はその続きを含めた家族との家出の終息であったのではないでしょうか。

     家族を含めて家出の終息を描きたかったのではないのかと思いました。だって、家族に重きを置いている合間妹子様ですから……。書きたい枠の大きさを思いました。


     今回は活躍の場がないだろうと思っていたジェレミーさんが、最後になって登場しました。やっぱり合間妹子様にとっても彼の存在感は大きいようです。

     『次は距離を延ばしてルクレール領まで行く気だろ?』
     さらにエスカレートして言うことは伯父の特権であるようにも思いました。父親は言えませんからね。

     それに、そう茶化すことによって、お前程度が起こした家出なんて取るに足りないことなんだよと言っているようにも思えました。

     自分一人では深刻なことでも、世間から見れば小さいことなのだと、その一端を見せていたようにも感じました。
     ああ、ジェレミーさんは世間を代弁したのかと、私は表現の深さを思ったのでした。


     妹ローズさんの視点は世間よりは近い家族からのもので、自分一人しか考えられなかったナタニエルさんには新鮮に見えたことでしょう。
     こちらは、母親を代弁したようでした。

     妹というより、姉に近いみたいに思えました。


     本文に書けないので、欄外にドウジュさんの帰省がありました。
     アントワーヌさんが王都に来て以来、実家に帰っていなかったように思いました。つまり、ドウジュさんも帰省できていなかったのです。
     大変だったんだなあと、私はその歳月を思い、これまでの物語に浸ったのでした……。


     はい。これにて、このナタニエルさんの家出編は終わりました。でも、まだ番外編はありそうです。楽しみにしましょう。


    作者からの返信

    アントワーヌ君は何でも冷静に判断できる人ですから、継子のナタニエル君の気持ちも汲んで彼の実父の良い所を少しでも挙げたのですね。

    本当にいいお父さんです。ナタニエル君はそれを重々承知しているから、家出を繰り返し学院で問題を起こしても、結局は彼の中のアントワーヌ君への信頼と尊敬は失われていないようです。

    フロレンスとアントワーヌの登場に時間差をつけたのは、父子だけの話し合いの場を書きたかったからなのですね。ですから身軽なナタニエル君だけが馬を飛ばしてやってきて、後からフロレンスが馬車で二人を迎えに来るという構成にしてみました。

    もうずっと前になりますが、この話の筋を考えていた頃、やはり大きなテーマの一つは血の繋がらない父子の絆にしたいと思っていたのです。ですから本編が完結した後、番外編でより深くこの父子のエピソードを書けて私も一息ついた感じなのですね。

    ジェレミーは相変わらずですね。けれど甥のナタニエル君のことを心配しているからこそのこんな彼の台詞です。きっともう反抗期がそろそろ終わることを察しているからわざと茶化して言っているのでしょう。伯父というワンクッション置いた立場だからこそ言える台詞です。私も少し話の雰囲気を軽くしたかったという気持ちもあります。そのためにはジェレミーの登場はもってこいでした。

    ナタニエル君の妹ローズは早熟でませているというか、彼女もこんな家庭に育って色々と考えることがあるのです。次の番外編は彼女の話になります。お楽しみに。

    ドウジュとクレハはランジェリーの告発騒動が終わってからは割とゆっくりできていたようです。実はこの二人も落ち着いてから子宝に恵まれたようですよ。これは後々別のスピンオフで明らかになります。そして最近はナタニエル君の反抗期のお陰でドウジュやクレハも再び駆り出されていましたが、ランジェリーという大罪人のことを調査していた頃に比べると家出少年の見張りなんてずっと気が楽だったでしょうね。

  • ナタン君も落ち着いて、ほっとしました(*´▽`*)

    ……なんだか、ナタン君は、予想外の恋をしそうな気がします。義理のお父様に似て(笑)

    作者からの返信

    ナタニエル君も最後にペルティエ領まで家出をし、少し落ち着きました。反抗期を乗り越えて少し成長した彼はどんな恋をするのでしょうね?

  • 反抗期って言うのは、一種甘えの裏返しでもありますよね。
    ナタニエル君にとってアントワーヌは紛れも無いお父さんで、アントワーヌにとてもナタニエル君は大事な子供。ナタニエル君もちゃんとそれが分かっているからこそ、こう言う反発もできるのかもしれませんね。

    だけどそんな時期ももう終わり。迷惑も心配も沢山かけたけど、大人になるためには悩める時期も必要でした。

    最後は再び家族の輪の中に戻れて、本当に良かったです。

    作者からの返信

    無月兄さまのおっしゃる通りです。何となく何にでも反発してみたくなる、そういう年頃です。ナタニエル君もこの反抗期を乗り越えて、立派な青年に成長していきます。

    アントワーヌやフロレンス、周りの人々が愛情を持って接してくれるお陰ですね。

    両親に反抗して家出するのだから、王都の外で転がり込むとしたら、やっぱりラングロワの祖父母のところだろう、ということでこんな家出劇になりました。この祖父母のお話も少し書きたかったのです。あの大罪人ラングロワの両親ですが、フロレンスには良くしてくれましたし、ナタニエル君にとっては血の繋がった優しい祖父母ですからね。


  • 編集済

     素敵なエピソードでしたね。
     このエピソードがあることで、「王国物語4」がより素晴らしいものになったと思います。
     しかし、ナタニエル君がジェレミー達の馴れそめを知るのがちょっと恐ろしい気がします。

    作者からの返信

    空知音さま
    ありがとうございます。連れ子のナタニエル君とアントワーヌの関係は本編を考えていた時からナタニエル君が幼い頃はまだいいけれど、少し大きくなると一筋縄ではいかないだろうとは思っていたのです。

    本編「王国物語4」はアントワーヌとフロレンスの恋愛物語ですから、ナタニエル君と継父アントワーヌが交流を深めて本当の親子になるまでは省きました。でも、絶対に書きたかったので番外編「生みの親より育ての親」と「親の心子知らず」が生まれたのですね。

    さて、鋭い空知音さまも心配して下さいますか? ジェレミー伯父さまはナタニエル君にアナ伯母さまとの馴初めを聞かれてどう出ることでしょうか? ムムム……

  • 血のつながりは無くても。アントワーヌがいかにナタニエル君のことを大事にしているかがよく分かります。
    アントワーヌが惜しみない愛情をそそいで、ナタニエル君もそんな父を尊敬するようになって。こんなの理想の親子ですよ。血のつながりや実の父のしでかした事なんて、些細な事です。

    ナタニエル君はもう負い目を感じる事も、家族の中で疎外感を感じる事も無いでしょう。これからは胸を張って生きるんだ ( ・`ー・´) !

    作者からの返信

    正に雨降って地固まるです。この「蕾」の話、始め構想を練っていた時に、ナタニエル君の存在をどうするか少々悩んだのですね。義理の親子になるって言ってもそんな綺麗事ばかりじゃねぇよー、血が繋がっている家族でさえ色々あるんだからさぁー、あぁ頭痛ぇよー、とやさぐれていました。

    で、結局こんな形に落ち着きました。ひとえにアントワーヌの忍耐強さのお陰です。この番外編は書くのに非常に力が要りましたね。全四話という長い話になったにもかかわらず最後までお付き合いありがとうございました。

    編集済