第7話 宇宙の釈迦の会って…

「…ところでこのテーブルだけど…」


オレたち仲良し四人組は午後の昼下がりの学食にいる。


オレの正面にいる源次は窓際に座り、オレの隣に薄笑みの妻の麗子、


その正面に友人の詩暖が仏頂面で佇んでいる。


このテーブルは現学長からオレのために進呈してくれたオレ専用の食卓だ。


ほかのテーブルは全て四人掛けなのだが、このテーブルは六人掛け。


テーブルを少し通路側に動かせば、最大八人座れることになる。


この学食は広いので、その程度のことは可能だ。


「最低でもあとふたり、オレたちの仲間になる、

 ということでいいんじゃないのか?」


オレが言うと三人は納得した様で深くうなづいた。



すると、詩暖の隣の席に赤ん坊を抱いた女性がいきなり現れた。


そしてその肩にはなぜかリスがいる。


詩暖を除き、オレたち三人はすぐさまその赤ん坊に頭を下げた。


「仏陀っ!!」


オレは大声で叫んだ。


そして、前回と同様に勝手に頭が上がった。


赤ん坊の仏陀を抱いている女性は、この地球の神の存在である皇澄美すめらぎすみだ。


「仏陀ちゃん、誘拐して来ましたぁーっ!!」


澄美は陽気に言って、仏陀を両手で掲げ上げた。


かなり驚いて呆気に取られたが、この行為には理由があるはずだ。


「…仏陀ちゃん、早く大きくなりたいって…

 わがままよね…」


麗子が仏陀の通訳をして感想を述べた。


我らの主に対してかなり辛辣な言葉だった。


だが麗子の言う通りには違いない。


「ですがここに来てもその方法は…」


オレは言ったがすぐさまそれがあることを思い浮かべた。


「はい、その通りですわ。

 あることをすれば、仏陀ちゃんは素敵なレディーになることでしょうっ!!」


澄美が言うと、仏陀は、「キャッキャッ」と言って喜んだ。


「…あることって?」


麗子は怪訝そうな顔をオレに見せた。


「経緯は知らないが、大樹君はどう見ても中学生だが、まだ二才だぞ」


「そうなんすかぁー?!」


オレの言葉に源次が過剰に驚きを露にした。


「誕生日パーティーの招待状に年齢を書いてある。

 縦書きで漢数字で書いてあるので一瞬11才だと思ってしまった。

 だがどう見てもこれは二才だ」


澄美はオレに拍手をしてくれた。


「大正解ですっ!

 ではこれからその儀式を受けに参りましょうっ!!」


オレ達は食事を手早く済ませて、なぜか目的地まで歩いていくことにした。


それもそのはずで、


眼と鼻の先にある世界の騎士団の地下施設がその目的地だったのだ。


仏陀はかなりご機嫌で辺りの景色を見渡している。



ほんの数分でオレ達は、


神と神の僕たちが集う世界の騎士団の地下施設に足を踏み入れた。


満面の笑みでオレ達を源次郎が出迎えてくれた。


そしてすぐさまその表情を曇らせ、仏陀を見た。


「赤ん坊はみんな可愛いものだと思っていたんだけどなっ!!」


源次郎が怒ったように言うと、仏陀はそっぽを向いた。


このふたりは心底犬猿の仲だなとオレは思わざるを得なかった。


オレ達は源次郎に地下施設に誘われた。



「さあ、グリーンベティーちゃんっ!

 始めましょうかっ!!」


澄美が言うと、緑の髪、緑の瞳の少女に近い女性が


黒い土の畑に裸足で歩いて行った。


先日訪れた時はこの少女はいなかったし、


この畑も黒くなかったはずだとオレは思い出した。



少女は美しい声で少し陽気な歌を奏で始めた。


だが言葉はよくわからない。


何語だろうと思った時に、


目の前に緑色の身体で透明の羽の生えたまさしく妖精が現れたのだ。


オレは視線を外せなかった。


そしてその妖精はオレの胸に入っていった。



ふと気づくと歌は終わっていて、


グリーンベティーがオレ達に向かって頭を下げていた。


オレはベティーに向かって頭を下げた。


顔を上げたオレに女性が覆いかぶさってきた。


一体何事かと思って少し距離を取ると、かなり若いが仏陀だったのだ。


「仏陀、お戯れを…」


オレが困ってしまって言うと、仏陀はすぐに身体を放した。


「…裸でしっかりと抱き合った仲じゃない…

 それに入れたし…」


仏陀は恥ずかしそうにして身を捻りながら言った。


「入れていませんっ!!」


仏陀に言い返したオレは赤面してしまった。



少女より少し大人の仏陀は、


グリーンベティーに丁寧に礼を言って手を繋いで戻って来た。


「不思議よねぇー…

 年寄りは若くして、若者を精神年齢相応に成長させる。

 心が大人の私は、いきなりここまで成長できたわっ!」


綺麗な鈴の音のような仏陀の声がオレには心地よかった。


仏陀の言葉を聞いて、麗子たちが大鏡を見つけて走って行った。


麗子も詩暖も、少し幼い感じに顔が変わっている。


「うわぁー、15才の頃の肌だわぁーっ!!」


麗子が大喜びしていて、詩暖も何度も頷いている。


オレも鏡の前に立つと、やはり同じ様に少し幼いオレになっていると思った。


そして思い出した。


四才上の従兄弟の純也が妙に若いと思っていたが、


あの歌を聴いたんだと思い納得した。


「では用事は済んだので、

 作戦本部に戻りましょうっ!!」


仏陀は大声で言って、澄美と共にさっさとエレベーターに乗り込もうとした。


オレ達は源次郎たちに深々とを頭を下げて仏陀を追った。


そしてどうやら、学食のテーブルが作戦本部だとやっとここで気が付いた。


… … … … …


「はいっ!

 席替え終了っ!」


上機嫌の仏陀がオレの目の前にいる。


オレの右隣に麗子、左隣は源次だ。


源次の向かいの窓際に詩暖、そして、通路側に澄美が座っている。


「…ああ、覇王ちゃん、結婚して…」


「申し訳ございません、それはでき兼ねます」


仏陀の妖艶な言葉に、オレは深々と頭を下げて丁重にお断りを入れた。


「…だったら愛人でいいわよ…」


オレはもう答えないことにして、右隣にいる麗子を見ると、


笑顔だが頬が引きつっていた。


「お友達の麗子ちゃんが怒っちゃったのでもうやめまーすっ!!」


仏陀は終始笑顔で上機嫌だ。


余程身体が大きくなったことが嬉しかったようで、


少々ふざけているとオレは感じた。


「ですが澄美様は、一体…」


オレはわかっていて聞いた。


澄美も仏の一員となっていたのだ。


「はいっ!

 紹介しまぁーすっ!

 巌剛明王さんでぇーすっ!!」


オレはすぐさま澄美に頭を下げた。


「私の昔の苗字が本名だとは知りませんでした。

 そして私はこの名前が嫌いです。

 ですがその理由がはっきりしたことを嬉しく思います」


澄美はオレに向けて頭を下げた。


だが、かなり気になることを言ったが、そこは無視することにした。


「澄美様は…

 かなり混沌とされていますが、大丈夫なのでしょうか?」


オレは本気で心配になったのだ。


「はい。

 仏のチカラは元々存在していました。

 覚醒、発動していなかっただけですので全く問題はありません。

 全てはこの勇者のチカラにあるのです!」


澄美は芝居のように両手を天に上げ天井を見上げて大声で叫ぶように言った。


仏陀が大拍手を送り始めたので、オレたちも倣った。


「…勇者…

 まさしく神や仏そのものだと思いましたが…」


「いいえ、全然違います。

 勇者はただの駒です。

 長にはなりえないのですよ」


澄美はゆっくりと仏陀に頭を下げた。


「澄美ちゃんは世界の騎士団員だけど、

 この宇宙の釈迦の会のメンバーでもあるから仲良くして上げてねっ!!」


仏陀は上機嫌で言った。


どうやらこの集まりの名前も決まっていた様で、三回ほど復唱した。


「では早速ですけど、この会結成の第一の仕事を請けています!

 会員ナンバー五番の皇澄美様から依頼を二件受けておりますっ!」


会員ナンバー制なんだなとオレはごく普通に思った。


「まずひとつ目のお願いですけど、

 きっと一瞬で成し得ることでしょうっ!

 では参りましょうっ!!」


仏陀はまるで遠足気分で立ち上がった。



学食の横の校庭に、飛行艇が下りてきた。


リモートで飛んでいた様で、誰も乗っていなかった。


四人乗りだが三人が女性なので何とかなると思っていたら、


澄美が巨大化して浮き上がった。


それを見た仏陀が拍手をしている。


オレは始めて見たがかなり強烈なインパクトを残した。


身体の大きさは4倍ほどなのだが、そのチカラが10倍ほどに膨れ上がっていた。


しかも機械も何もつけずに空を飛べることをうらやましく思えた。


オレたちが飛行艇に乗ると、飛行艇が飛ぶのではなく澄美に運ばれるようだ。


素早く移り行く景色を仏陀は楽しそうにして微笑んで見ている。



オレ達は富士の樹海に下ろされた。


するとひとりの男が迷惑そうな顔をしていたが、


思い直したのか笑みで出迎えてくれた。


「澄美ちゃん、久しぶりだね」


「…一輝さん、いい男になられたわ…

 数ヶ月前と雲泥の差だわ…

 惚れ直しちゃったわぁー…」


「まだまだただの人間だ。

 あまり冷やかさないで欲しいな…」


「いいえ…

 小恋美から奪い取ってしまいますっ!」


「頼むからやめて欲しい…

 小恋美は今でもここに来てくれるんだよ。

 何も話さないけどな」


「小恋美、男がいますわよ?」


「それでもオレの今の気持ちは変わっていないからね。

 全てを小恋美に聞いてからだよ」


「やっぱり、以前とは別人だわ…

 その前の恋人候補が放っておかないんだけど…」


澄美は一輝という男性に縋り付いた。


一輝は全く微動だにしなかった。


オレはこの男性がどういう存在なのかやっと察した。


この一輝は神落ちだと確信した。


「小恋美、毎晩男のあそこを弄んでいるの。

 寂しさを紛らわすようにね…」


「…そうか…

 可愛そうなことをしてしまったな…」


「ウソよっ!」


澄美は少し笑って一輝の股間を握り締めた。


「はあ…

 ここも微動だにしない…

 本当に変わったわ…

 しかも神よりも仏…

 元々素質があるもの。

 …一輝さん、私とも付き合って欲しいの…

 源次郎さんが手には入らないからその代わりに…

 本当の愛人になって欲しいの…

 源ちゃんの代わりに…」


一輝は何も答えなかった。


だが、澄美に向けた笑顔は絶やしてはいなかった。


「いいだろう。

 それも修行だ。

 …結局は小恋美を泣かせてしまうんだろうなぁー…」


「小恋美にとっても修行よ。

 文句は言わせないわっ!」


澄美はチカラ強く言い放った。


どうやら小恋美という女性は、一輝の恋人で澄美の部下らしいとオレは思った。


「今ここでやって…

 もう我慢、できないから…」


澄美は一輝に妖艶に迫った。


「それは断るっ!

 オレは澄美ちゃんのおもちゃじゃないからな。

 いや、おもちゃだったなっ!!」


一輝は大声で笑った。


「もう…

 本気で好きになったわ。

 小恋美のあとにお願いね。

 これは本気だから。

 訂正するわ。

 小恋美は一輝さん以外知らないわ。

 自分ではやっているようだけどね」


一輝は笑顔だが、澄美は気に入らないようだ。


澄美が握り締めている一輝の股間へのチカラを入れてから手を放した。


「小恋美の自慰行為の想像で大きくなっちゃったわ…

 私って、魅力ないの?」


「ないわけないだろ?

 誰よりも魅力的だとオレは思っている。

 だが、その高圧的な態度が萎えさせる、

 といったところだな」


一輝は苦笑いを浮かべ、澄美は大声で笑った。


「あの頃の私ってバカだったわ。

 こんなにいい男だったなんて全然知らなかった…」


「全てはオレが裏切ったからだ。

 だがまだ自信をもてない。

 それは能力が復活しないためなのか、

 まだまだ修行が足りないためなのか…」


「修行なんてもう十分よっ!

 何度も死にかけたじゃないっ!!」


オレは澄美の真の顔を見た気がした。


澄美は源次郎が本気で好きだが、


この一輝にも恋焦がれている女に見えたのだ。


澄美は気付いていないのか涙を流している。


一輝はその顔を見て笑みを浮かべた。


「もう死んでもいいと思ったんだよ。

 だが、源次郎が死なせてはくれなかった。

 しかし薬は使わなかった。

 …あの野菜、苦かったなぁー…」


一輝は満面の笑みを浮かべた。


「これから食べに行けばいいじゃないっ!

 仏陀ちゃんっ!!」


澄美は怒ったように仏陀とバトンタッチをした。


仏陀は終始笑顔だった。


一輝は仏陀と聞いて、軽く頭を下げただけだ。


「その動じない心、強いわね。

 私の存在は知っているみたい。

 なのにその態度。

 まるで源次郎を見ているみたいで気に入らないわっ!」


仏陀は笑みを捨て憤慨の表情を露にした。


「源次郎のためならなんでもやろう。

 源次郎が仏はいらないと言えばオレは殺すだろう」


オレはすぐさま一輝と仏陀の間に割って入った。


「一輝さん、申し訳ありません。

 仏陀の弟子の結城覇王といいます。

 どうかその怒りは私にぶつけてくださいっ!」


「結城…

 純也君によく似てるね?」


一輝の表情がかなり解れた。


「はい、母方の従兄弟です」


一輝は小さく何度もうなづいた。


「このちびっ子が仏陀か…

 大したことはなさそうだ。

 源次郎の方が余程仏っぽいなっ!!」


もう仏陀は落ち着いていて、笑みを浮かべている。


だが仏陀は何もしないで一輝を前方遠くに投げ飛ばした。


一輝は数十メートル飛ばされ二転三転して止まった。


だが簡単に立ち上がってゆっくりと仏陀に歩み寄ってきた。


「…ふんっ…

 この程度のこと、痛くも痒くもない。

 修行の邪魔だ、帰ってくれ。

 お前だけはオレは認めないっ!!」


一輝は仏陀に言い放った。


仏陀は笑顔のまま一輝を空高く放り上げた。


オレは動こうとしたが仏陀が金縛りを掛けていた。


そして澄美もただただ一輝を見ているだけだ。


源次も麗子もオレと同じで動けない。



一輝は空中で手足をチカラ強く曲げ、地面に付く瞬間に土を殴り蹴った。


一輝は大きく宙に舞い、トンボを切って地に足をつけた。


なんて強靭な心だとオレは感心し、鳥肌が立った。


「まさかこの程度で仏陀と名乗っているのか?

 お前、ニセモノじゃないのか?」


一輝は今度は大きく横に投げ飛ばされた。


一輝はすでに察していた様で、大木を蹴り倒して地面に足をつけた。


「まだまだだ。

 オレに本気を見せろよ、ちびっ子…

 …おっと!」


一輝は全く動けなくなった。


地面に足がめり込んだので、仏陀は一輝に加重を掛けているようだ。


一輝は全身にチカラを漲らせた。


そして数回吼えた。


その顔は苦痛なのか気合なのか判断し兼ねたが鬼人には違いなかった。


数秒後、さらに大きく一度吼え、仏陀の身体が少し揺れた。



澄美が一輝に駆けつけて抱きつき、キスをした。


一輝は信じられないといった顔で、ゆっくりと澄美を放した。


「…なんて乱暴な修行だ…

 源次郎でもこんなことはしなかったぞ…

 よく骨が折れなかったな…」


一輝は自分自身を褒めているようだ。


もちろん仏陀は手加減していたが、最後の最後はかなり驚いていた。


そして一輝の神の僕のチカラが再覚醒したことをオレは知った。


「ほんとに腹立つわぁー…

 本気でやってやろうかしらぁー…」


仏陀は笑顔で本気で言った。


オレ達は身体が動くようになったので、丁重に一輝に頭を下げた。


一輝はまるで源次郎と同じだ。


オレ達には朗らかだが、仏陀には睨みを利かせている。


弟子のオレたちが仏陀に意見をすることはできない。


これが仏としての最大級の修行なのだ。



澄美は食ってしまうような勢いで一輝にキスをしている。


その反面、一輝はかなり迷惑そうだ。


「異様なチカラ…

 雛様の守り刀か…」


オレが呟くと、源次がうなづいた。


「世界の騎士団、もう磐石だな。

 そして百発百中の能力も蘇っているはずだぜ」


これは源次に聞いていた。


一輝は、銃に関しては天才だった。


しかもチカラも動きも半端ないとオレは感じている。



オレ達は澄美にトラノイル商店街まで送ってもらった。


依頼はあと一件あるのだが、また別の日にということになったので、


学校に戻ることにした。


オレはあの道すがら食堂で美味い飯を食いたかったのだが、


野球部に顔を出す必要もあったのだ。



オレ達は学校に戻り、満面の笑みの仏陀にオレは質問をしようと思った。


「ところで詩暖は、一体…」


オレの言葉に、詩暖が一番に反応した。


そして仏陀に向かって前のめりになった。


「…うふふっ…

 オマケ?」


詩暖は少し頬を膨らませている。


オレは何かあると踏んだが、今は聞かないことにした。


そして仏陀に一礼してから事情を告げ、


野球部の部室に走って行った。



「…ああん…

 いいわぁー…

 覇王君…

 あああ、いい、いいわぁ―――っ!!」


決してオレが何かをしているわけではなく、


キャプテンの皐月がベンチでバットを撫で回して悶えているだけだ。


もちろんオレのバットではなく、野球のバットだ。


そしてオレはベンチ前で、


野球のバットを数回振ってからバッターボックスに入った。



オレはもう帰ろうかと思ったが、真面目な部員たちに引き止められた。


オレがいない日は、皐月が暴れ捲くるようだ。


皐月は知らないようだが、プロのスカウトの目に止まったようだが、


全く意識していない様でごく普通に練習を行っている。


当然オレも大注目されてしまった。



「はーい、覇王君。

 バットは今夜の私の部屋で振り回してもらうから、

 私のこの貝の入り口にブチ込んでぇー!!」


要約すると、オレは皐月のキャッチャーミットに


ボールを投げ込めばいいということのようだ。


どうしても投手力が弱い我が校は、オレを投手として起用したいようだ。


二回戦でセンターを守った時の強肩を皐月は一生忘れられない思い出として、


キャッチャーミットの音と共にその場で逝ったと、


チカラ強くいやらしく語ってくれた。



軽くキャッチボールのようにして投げ込むと、


「ああんっ!

 ああ、もう、逝っちゃうっ!!」


などと言って騒いだが、オレは無視した。


プロ野球選手などの見よう見まねと


ベースボールテキストなどで仕入れた知識をフル活用して


五割程度のチカラで投げた。


「ああんっ!

 もう逝った、逝っちゃったからっ!!」


さらに激しく皐月が騒ぎ始めた。


もう、大概にして欲しいと思ったが、


ほかの部員たちに拝まれたので仕方なく投げ込みを続けた。


最終的には七割程度のチカラで投げたのだが、


皐月は軍手を二枚つけてボールを受けていたので、


手のひらの痛みはまるでないようだ。


「…処女のクセに、なに妄想ブッこいているのかしら…」


三回生のセカンドレギュラーの大町菖蒲が嘆いている。


「へー…

 先輩、遊び人のように見えるんだけどね。

 そうでもないんだね」


「遊び人だよ。

 でも美味いんだよ逃げるの…

 でもね、男性恐怖症かも…

 あんなことばっかいうけど、

 覇王君、触られてないでしょ?」


そう言えばそうだと、覇王は思った。


「あ、でも一回戦が終わったあと、

 オレの右手に触ろうとしたぞ。

 だけど、震えていたような気も…」


菖蒲が何度も頷いている。


「覇王君なら大丈夫とでも思ったのかも。

 だからこの部って女子部員が多いし、レギュラーも女子が多いのよ。

 一回戦の覇王君のホームランの時、ハイタッチした?」


「ああ、したぞ。

 …いや、皮のグローブしてたな…

 もう出番は終わっていたから外しておいてもいいはずだよな…」


「…やっぱり…

 覇王君だったらきっとなにもないはずだから、

 キャプテンの病気治してあげて欲しいな…

 この先、弊害があるかもしれないから…」


オレは菖蒲の言う通りだと思った。


オレはひとりでベンチにいた皐月に単刀直入に聞くことにした。


「…ああ、50回ほど逝ったわぁー…

 最高記録だわぁー…」


皐月は幸せそうだった。


「男性恐怖症…」


オレが言うと、皐月は固まった。


そして泣き笑いの顔になった。


この反応でほぼ確実に男性恐怖症だとオレは感じた。


もし間違っていたのなら惚けるか、当ったことを喜ぶウソをつくはずだと感じたのだ。


「そんなわけないじゃない…」


いきなり真面目な皐月になった。


「不安にさせるつもりはありませんが、

 クロスプレイの時どうするんですか?

 逃げるんですか?

 それでは勝てませんよ」


オレはゆっくりと皐月に近付いた。


皐月はかなりあせった様で、少し腰を浮かせた。


「…そんなの、今までだって何回もあるわっ!!」


皐月はもう、先ほどまでのふざけた皐月ではなかった。


「そうでしょうか?

 マスク外しますか?

 マスクをしたまま、ブロックしてたんじゃないんですか?

 下手をすると、キスしてしまうことになります」


皐月はワナワナと震え始めた。


そして立ち上がろうとしたので、「逃げるんですかっ!」とオレは鋭く言った。


オレは右手を差し出して、「握手してください」というと、


すぐに右手を出したがいつまで経っても掴もうとはしなかった。


「右手は噛み付きませんよ?」


オレが言うと皐月は少し笑った。


そしてゆっくりとオレの右手に触れた。


皐月はかなり喜んで涙を流し始めた。


「よかったら話を聞かせてもらえませんか?

 重症の場合、ベッドシーンも用意しています」


オレが言うと皐月は、「覇王君だったらいいかも…」といっただけで、


お下劣な言葉は吐かなかった。


皐月が話している途中、無礼を詫びながら身体に触れ捲くった。


もちろん肌に直接ではなく、ユニフォームの上からだ。


どうやら、オレに対しては免疫ができた様で、過剰な反応はしなかった。



皐月は小学生の頃、浮浪者に襲われかけたそうだ。


大事には至らなかったが、


その先を想像してしまい、その妄想がトラウマとなってしまったようだ。


事はなかったのに、あったような錯覚に見舞われたということになる。


オレは皐月を抱き締め、キスをしようとした。


やはりこの場合は敏感に反応して、オレを突き飛ばそうとして嫌悪感満点の顔をした。


「…ああ、身体が勝手に…

 もったいない…」


オレは大声で笑った。


「多分問題ないと思いますよ。

 逆にそれを利用すればいいと思いました。

 女を舐めてるととんでもないことになるぞ、

 といったような、ね」


皐月は満面の笑みになった。


そして少し顔色を曇らせた。


「…ああ、あのぉー…

 ベッドシーンは…」


皐月はいつもの調子に戻ってきた様でオレは嬉しかった。


「それほどに重症ではありませんでしたね。

 もしベッドシーンに突入した場合、

 オレは麗子にボコボコにされて女性恐怖症になると思います」


皐月は女性らしく、しかし大声で笑った。



「ひとつ残念なことがあるの…

 明日菜なんだけど…」


栗原明日菜は二回生の女性部員だ。


SKプリンセスのテスト生として高校時代に所属していたと聞いた。


「彼女の家金持ちだからこの大学に来てるんだけどね、

 実力は異常にあるのに本気にならないの。

 やる気がないっていうか…

 でもね、野球をやめる気はないみたい。

 テスト生時代に、なにかあったのかなぁーって…

 聞いても話してくれないの。

 だから凄くもったいなく思って…」


「プロ球団は金銭の斡旋や道楽でテスト生は取らないでしょうからね。

 実力は本物でしょう。

 きっと彼女は挫折しかけているのだと思います。

 少し話をしてみます。

 実はオレも少し気になっていたんです。

 …悪意を、感じるのです…」


「ああ、でも、何も悪い事は…

 …いえ、あったわ…

 きっと、神様が助けてくださったのかも…」


オレが話を聞くと、


スパイクの紐やレガースのベルトに何かで切った形跡が何度かあったと言った。


ほかの者には確認してはいないが、


「あれ?」という声をよく聞いていて、紐を交換したりしていたと語った。


きっと神が警告してくれたんだろうとオレは感じた。


まずは神棚に丁寧にお参りすると、『神落ちだよ』という言葉が聞こえた。


明日菜が澄美の第二の依頼人だとオレは確信した。


『今から行くから』


どうやら仏陀も状況を把握していた様で、なぜか澄美と共に仏陀が姿を見せた。


「近場でしたので、特に急ぎではなかったのですが、

 お知りになられたので依頼を継続してくださいませ」


澄美がオレに丁寧に頭を下げた。


仏陀はゆっくりと対象者に向かって歩いて行った。


「あなた、何が気に入らないの?

 人をひとり殺しかけといて…」


仏陀の言葉にオレは、それで神落ちかと納得した。


「…あんた、生意気ね。

 殺すわよ…」


「できっこないわよ。

 やってご覧なさいよ」


オレは傍観することにした。


きっとまた荒療治が始まるのだろうと少しげんなりとした。


明日菜はいきなり仏陀に殴りかかった。


だがもうそこには仏陀はいなかった。


「捕まえられなかったら殺せやしないわよ。

 あんた、何をひねくれてるのよ。

 全部あんたが悪いんじゃないの。

 チカラもないくせに、いきがるんじゃないわよ。

 この神落ちがっ!!」


明日菜は一気にチカラが抜け、その場に膝を付いて泣き始めた。


オレはグラブとボールを明日菜に手渡した。


「これからナイター設備のチェックをするんだよ。

 一緒にキャッチボールして欲しいんだけどな」


オレが言うと、明日菜はなぜだが涙を拭いて、


「はいっ! 源次郎さんっ!」とオレに言った。


オレには全てが見えた。


明日菜は嫉妬のために、悪意に塗れてしまったようだ。


仏陀の顔を見ると、気に入らないのかかなりの仏頂面で仏らしくなかった。



オレと明日菜は楽しくキャッチボールをした。


明日菜はずっと泣いていたが、ずっとチカラの入ったボールを投げていた。


ライトが点灯してから二時間ほどキャッチボールを続けた。


お互い礼をしてキャッチボールを終えた。


「オレは源次郎さんではないけど、

 なんとしてでも君を神の僕に戻したい。

 恋は始めてだったのかな?」


明日菜はオレの顔を見てはっとした。


どうやら彼女はずっと源次郎とキャッチボールをしていた気になっていたようだ。


そしていきなり恥ずかしそうな顔をした。


「…凄く似てました、源次郎さんと…」


オレは黙っていた。


「優しさがそっくりです。

 でも、残念です…

 麗子さん強いから奪えないもん…」


オレは大声で笑った。


「男子部員もいい男がいるじゃないか。

 適当に付き合って、楽しく野球を続けて欲しいな。

 そして、全国大会で実力を見せ付ければプロも夢じゃない。

 明日菜にはその実力があると思っているからな。

 実力のない者にとっては嫉妬の対象だと思うぞ」


明日菜ははにかんで笑みを浮かべた。


「…源次郎さんからの死刑宣告の言葉、

 さっきまでずっと続いていたんです…

 でも今やっと、眼が覚めたような気がしています。

 結城さん、ありがとうございました…」


オレと明日菜は肩を並べてロッカールームに歩き始めた。



男子更衣室に入ると、皐月がいたので慌てて飛び出した。


オレは外から、「キャプテン、何をしているんですかっ!!」と大声で叫ぶと、


女子更衣室から明日菜が現れて、皐月を連行して行った。


仏陀がついて行ったので、きっと説教でもするんだろうと思いながら、


オレは更衣室に入って着替えを終えた。


外に出ると、胸を張った明日菜と萎れた皐月がいた。


仏陀は薄笑みを浮かべている。



これから食事にでも行こうという話しになり、


皐月の眼が輝いたが、仏陀が真顔になるとまた萎れた。


源次と麗子も呼んで六人で居酒屋に行った。


さすがに仏陀はアルコールは飲まなかったが、


初めて見る居酒屋料理に大して美味くもない肴に舌鼓を打っていた。


明日菜の様子を見ていると源次に興味があるようだが、


どうやら名前が気に入ったんだなとオレは察した。


だがその程度でやる気が出るのなら、全快も近いのではとオレは一旦は喜んだ。



明日菜は少し酔ったようで、「源次郎の、バッキャロー!」などと叫び始めた。


そして仏陀もそれに乗ろうとしたがさすがに止めた。


かなり楽しいひと時を終えて、明日菜と皐月を家に送り届けてから、


オレ達は仏陀を見た。


「仏陀、家は?」


「家なき子なの…」


妙に可愛らしく言ってきたので、オレはついつい笑ってしまった。


源次は家に帰らせて、今日のところは我が家に泊まってもらうことにした。


家に着くと、仏陀を見つけた見張り番の桔梗が驚いて、


そして背筋を伸ばしている。


部屋は十分にあるので、広い客間を使ってもらうことにした。


その部屋で少し話をすることにした。


「明日菜はかなり元気になっていましたが、今だけかも知れません」


仏陀もオレの意見に賛成のようで、少し表情を曇らせた。


「明日菜を襲って欲しいなっ!」


仏陀が、妙に可愛らしく言った。


「はあ、できなくはありません。

 源次でいいですよね?」


「うん、そうね。

 源次にとっても修行だわっ!!」


仏陀はあまり見せない満面の笑みで言った。



人間の場合は夢では昇天しない。


そしてそれほどはっきりとは覚えてはいないものなのだ。


だがインパクトと記憶は残すようにして、オレは夢に入り込んだ。


そしてすぐに出た。


オレはまだ寝ていなかった仏陀と麗子に報告した。


「源次、やるわね…」


麗子があまり見せないいやらしそうな顔を見せた。


仏陀がオレを見た。


「明日菜もその気満々だったのね。

 でも、困ったわね…」


「…はあ、でも、続くかどうかはお互い次第ですし…

 宇宙の釈迦の会と世界の騎士団のカップルができれば、

 この先やりやすくなると思います」


仏陀は数回頷いた。


オレは聞きたくはないが、仏陀の気持ちを聞きたいと思って勇気を振り絞った。


「仏陀は、源次郎さんのことが好きなのですか?」


麗子は呆けた顔を見せた。


だが仏陀は真剣な顔をオレに見せた。


「…す、好きに決まってるじゃない…」


オレはやれやれと思ってしまった。


「簡単に言えば照れ隠し。

 ツンデレ、ということでよろしいのでしょうか?」


「…うん、それ知ってる…

 ツンツンデレデレ…

 今、その気分だわ…」


まさに仏陀はその言葉通りで、


両手のひらを合わせ太ももに挟んで身体を何度もねじっている。


「オレに言った事はただの冗談。

 本命だけには素直になれない」


仏陀は、「あははは…」と軽いノリで笑った。


「真面目な話し、弟子には手は出せないわ。

 きっと、私を見限ってしまう者が大勢現れる。

 そして、私が恋愛する事もご法度。

 私は永遠に処女で、特定の好きな人も作ってはいけないの…」


「はい、その通りですね」


オレの言葉が気に入らなかった様で、仏陀はオレを睨みつけた。


「…始めての人間界、誘惑が多いわ…

 だけどそれでこその修行。

 …覇夢王、生まれてくれて本当にありがとう…」


オレは仏陀に深く頭を下げたがすぐに引き起こされた。


「ものは相談だけど、麗ちゃん…

 覇王君、貸してっ!」


仏陀は満面の笑みで言い放ったが、麗子はかなり不機嫌な顔で断った。


… … … … …


翌日の朝、源次と明日菜の姿がなかった。


だが昼食時の学食にふたりが現れた。


どちらとも同じシャンプーかボディーソープの匂いがしている。


「…おそろい、だな…」


オレが言うと、源次は、「うっ!」といって、咳き込み始めた。


仏陀を含めて、オレの言葉の意味がよくわからなかったようだ。


「…覇王君、はっきりと言って…

 読んでもいいけど、それじゃあ詰まんないからぁー…」


仏陀がオレに妙な迫力を漲らせて迫ってきた。


「源次と明日菜から同じ匂いがします」


麗子はすぐに気づいて、笑みになった。


詩暖はふたりにまとわりついて、うなづき始めた。


「それが、何よ…」


仏陀は怒り心頭だった。


どうやら仏陀には具体的に話す必要があると思い、


全ての考えられることをみんなの前で披露した。


「…源次、いやらしいわね…

 …明日菜、アンタ、うらやましいわよ…

 しかも朝までって…

 擦り切れちゃうわよ、羨ましい…」


仏陀はひと通り感想を言ってオレを見たが視線をそらせた。


しかし顔は仏陀に向いてしまった。


「…仏陀ちゃん…」


困った顔の麗子が仏陀に懇願の眼を向けた。


さすがに仏陀もこれ以上はやらない様で、オレへの呪縛は解けた。


オレはやれやれと思いながら、仏陀のこの興味をどうにかするべきだと考えた。


「…澄美さんに聞こうか…」


オレはついつい呟いてしまって、また仏陀に詳しく説明しろと言われた。



放課後、源次も野球部の練習に参加した。


仲睦まじくふたりして同じライトを守っている。


当然ずっと話をしているのだが、


飛んできたボールを簡単に処理してまた話を始めた。


皐月は羨ましいのかライトにしかノックをしなくなった。


その全てを完璧な捕球、完璧な送球で、この場にいる者全てを呆気に取らせた。


「外野手、栗原明日菜、レギュラーね。

 栗原っ!

 打席に立てっ!!」


我が弱小野球部に監督はいない。


今年まですっと、キャプテンが監督を兼ねている。


だか今回ばかりはそうも言っていられないので、


各運動部の野球好きが集まって、


ノックやバッティングピッチャーを勤めてくれているのだ


これもひとえに、皐月の人付き合いのよさの表れでもある。



オレが調整のために投手を勤め、気持ちよく打たれ捲くった。


すると、本格的な打撃特訓が始まるようで、皐月がマスクを被った。


当然サインも出す。


オレは全てに従って、対戦成績ほぼ五分五分の結果を残した。


オレはホッとしたのだが、明日菜は怒り心頭になってバットを睨み付けている。


きっと、自分自身に腹を立てているのだろうと感じた。


皐月が明日菜に話しかけ、訓練再開となった。


今までオレはかなり手を抜いていた。


皐月のサインはほぼ全力で投げ込めということだったので、


皐月には未知の九割に近い力で投げ込んだ。


「くっはぁーっ!!

 きっくぅ―――っ!!」


皐月はいやらしい言葉を放たなかったが、


こっちの方がいやらしく聞こえてしまった。


明日菜は打たなかったのではなく打てなかったようだ。


明日菜はさらに気合を込め、オレの握ったボールに全神経を集中させた。



「…覇王さん…

 プロ、行かないんですか?」


明日菜はかなり自信を失くしているが、足取りはしっかりしている。


「オレの就職はこの大学の講師に決定しているんだよ。

 それ以外の職はする気はないよ」


「なんだか羨ましいです。

 特に投手…」


「投手なんて消耗品だろ…

 すぐに捨てられるぞ。

 外野手が一番安全なポジションだな。

 きっと長続きする。

 もしくは…

 全部やれ」


オレが笑いながら言うと、明日菜は本気で考え始めたようだ。



翌日から明日菜の本気が始まった。


自分から率先して野球の全ての特訓を始めた。


そして神にもしっかりと祈った。


練習が終わってフラフラでも神に祈って、


家に帰るだけの体力をもらっていた。



そして地区大会第三回戦。


雅無陀羅大学野球部は、明日菜ひとりの攻撃で全得点を挙げた。


守備はセンターだが、フィールドの半分を明日菜が受け持った。


最終回の守りでは出る必要は全くなかったのだが、


投手としてマウンドに立ち、三者三振に切って取っている。



皐月とオレを見に来ていたスカウトたちは、


この学校はどうなっているんだという顔で明日菜に執着するようになった。


よってこの試合にオレの出番はなかった。


次の準々決勝で、明日菜が先発、


試合展開によれはオレがリリーフということに決まり、


オレは軽く、明日菜はハードに練習を始めた。


準々決勝も明日菜ひとりで投げて抑え、打って点を稼いだ。


もう誰も明日菜を疑わなかった。


今シーズンのドラフトは、栗原明日菜一色に染まることに決まったようだ。



地区大会決勝で、前半はオレ、後半は明日菜の活躍で簡単に優勝旗を手にした。


明日菜は喜んではいたが学校に戻ってすぐに神に報告とお礼をしている。


当然部員たちも明日菜に倣って、お礼を行ってから帰宅した。


だが明日菜は練習をする。


オレと皐月も手伝った。


少し遅れてやってきた源次も合流して、明日菜ひとりのための訓練を始めた。



SKプリンセス球団プロテスト。


明日菜は胸を張って堂々と受けた。


そして簡単にプロの切符を手に入れたのだ。


当然他球団からのクレームが相次いだ。


よって明日菜はその結果を待って、


結局はドラフトで最終的な進路が決まることが決定した。



実はこれには仕掛けがあったのだ。


SKプリンセスのプロテストの合格を聞いた時点で、


明日菜は神の僕のチカラを得たのだ。


はっきり言って普通の人は誰も明日菜に追いつけるはずがないのだ。


しかし明日菜は、プロ野球選手として一年ほどは活動したいということで、


雛と源次郎は満面の笑みで納得したようだ。

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