第12.5話 ステープラー 深海 鬼
「深海は光の届かない海。真っ暗なところだよ」
「ウミ!同じ名前だな」
「…そうだね」
僕の名前は海。両親から広い心で大きく自由に育って欲しいという意味で名付けられた。きっとソラも似たような意味で名付けられたんじゃないかな。
この国の歴史を話してからもソラはさほど変わらず、むしろ前にもましていろんな質問をするようになった。
「鬼って何?」
「東の端の地方の国の怖い伝説の生き物。いい子にしないと襲ってくる。子どもを食べるらしいよ」
「だ、大丈夫。俺もう子どもじゃないんだろ?」
「それはまあ僕の国ならね」
「そんなの鬼が困るんじゃない?」
「鬼は伝説だからね」
「ウミはそういうのは信じないんもんな」
「そう」
だけど今僕は奇跡とやらを信じてる。若い兵に混じってソラを見かけた。目をこする、やっぱりいない。じじいに引き止められたけど断った。ソラを置いていくのかとまで言われた。僕には一緒に残ることも連れて行くこともできない。奇跡か起きてたとしてそれから僕はどうする気なのか。
「おい、ここらで休憩だ!」
「はい!」
国同士の境界線付近。もたれかかった岩から声が聞こえた気がした。
「ステープラーって何?」
耳までおかしくなったみたいだ。
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