第11話 武術 摩天楼 蹴(六題:鰐 砂漠 騎士)

 ソラの声がする。



「鰐男みたいなキバもない、騎士ナイトみたいに馬なんて乗れない」


「そんなの僕だってそうだ」


「親父みたいに、あんたみたいに何も作れない」


「ソラは器用だから学べばきっとできるよ」


「小さい頃よく怒られたんだ。お前は触るな、手が汚れるからって」


「まあ危ないからね」


「そんでよく蹴られてた。足は手よりも使いようがあるって。足が速いのは褒められた」


「極端な親父だな」


「キョクタン?〇〇は?どんなお父さんだった?」


「僕の親父は、」




 〇〇〇〇〇〇




 宿屋から見える摩天楼のようなビルの景色。故郷に似てる。ソラの国の隣国の1つ。入国は却下された。入りたければ戦争に参加しろと言われた。どこと戦争するか聞いた。聞かなければよかった。



「敵国からの旅人だと?」


「僕は流れ者です。機械いじりが得意です。お使いの獲物もタダで整備しますよ」


「いい整備なら助かる、今度の王様は戦争好きでな。いくら武器があっても足りないんだよ」



 砂漠の向こうの国にも攻め入るつもりらしい。あの故郷を思い出す。僕も旅人になった時武器の必要を学んだ。武術のできない僕が唯一、人の命を操れるものだ。



嘘だ

なんでも武器になる

モノとはそういうものだ

しようと思えば

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