第6話 根付 城 火消し(そのまま)
「おい、火消しって知ってるか?」
となりの爺さんから「エド」という国の話を聞いた。エドは木造の家が密集しており火事が多く、火消しは家を潰して火を食い止めた。家がなくなる分また作る。木材や釘が必要でそれを作るもの、売るもの、買うもの、使うもの。そのいろんな職人の話を聞いた。国は火事から学び復興し、様々なルールを作る。城という偉い人がいた大きな建物ももちろん木造。スプリンクラーなどない。
となりの爺さんもどこかの旅人から聞いたらしい。僕の故郷や旅の話のお礼にといろんな話をしてくれるようになった。
「壊して止めたかった。そしてまた作ろうとしたんだ」
「それは」
「俺の昔話。こんな仕組みぶっ壊したかった」
この男は栄えた国の昔のお偉いさんだ。国のあり方に逆らってここにいる。当時の荒れ狂い方が、向こうではホラー扱いされ語られている。彼が身に付けていたネツケという小さなストラップが、人を狂わす呪いの彫り物として展示されているのだ。その使い方が気になる。
「根付は旅人からもらったんだよ。小物入れをぶら下げて服のオビに留めとくもの」
「バックは?」
「あまり物を持って歩かないんだ」
機械の物だらけの僕の故郷とは大違いだ。
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