4

 学校では席替えがある。その方法は様々で、くじ引き、先生の独断、生徒の意思を尊重した席替えなどがあると思う。今回は明らかに先生の独断によるものだった。


 席替えにより、私の席は教壇のある列の前から2番目になった。別にそれは構わない。授業をさぼるようなこともないので、漫画やアニメのように窓側の一番後ろを希望していたわけではないし、一番前でもないので特に不満はない。ただ、私の席の周りに大いに問題があった。

 

 学校では班活動というものが必ず存在する。それに伴い、自分の席の隣はもちろん、前後の席の児童は席替えにおいて、注目すべきことである。班活動において、班のメンバーが役に立つか立たないか、気が合うか合わないかでその席でよかった、悪かったかが決まるといっても過言ではない。私の場合、どうせ短い付き合いだし、誰でもよかったのだが、今回ばかりは驚いた。

 


 私は周囲を見渡した。そこには明らかに差別を行った形跡があった。班活動を行うにあたり、席替えではそれに合わせて班の能力が均等になるように配置する。私以外の班は均等に席が配置されていた。とはいえ、私を嫌っている幼馴染の女と私を無視し始めた男は隣同士になっていた。


 その周りには彼らの仲間たちが勢ぞろいしていた。その点を踏まえると、私の班だけがおかしいとは言い切れなかった。彼女たちの仲間は「類は友を呼ぶ」ではないが、正直に言って私から見たら役立たずの愚民しかいないからだ。その点を鑑みると、私の班と女のいる班が能力的におかしなことになっていた。


 しかし、私はあえて席替えに文句を言わないことにした。私のある計画のために、これはうってつけのシチュエーションだ。



 班のメンバー構成で最悪なのは、お互いの意見が拮抗してしまい、結局何も決まらないままになってしまい、班での作業が滞ってしまうことだ。発表や作品が課せられている場合、作品の質が逆に下がってしまう恐れがある。我が強い面子が集まってしまうのは意見が出るうえでは好ましいが、それをまとめるリーダーがいないとせっかくの意見がまとまらない。


 そういった点において、今回の私の班のメンバーは私にとって実に都合がいい。我の強い面子はいないし、私のいうことに素直に従ってくれるものばかりだった。 

 班のメンバーは私を含めて4人。3人ともおとなしいのが特徴だ。さらにおとなしいだけでなく、成績も芳しくなかった。3人ともテストの成績は最下位を独占している。おとなしくて成績が良くない。


 一人の男は恰好が清潔ではない。いつも汚らしい服を着て、しゃべり方もドモリがちだ。一人の男は天然なのか、やることがふつうと違っている。そもそも常識がない。突然訳の分からないことを言い出し、教室から出て行ってしまう。さらにデブでちびときた。この男は愛嬌があっただけましということか。


 もう一人は女でとりあえず容量がものすごく悪い。何をやらせても遅い。期限を守って提出物を出したことがない。容量が悪いうえにこちらもデブだ。以上の3人が私の今回のメンバーだ。たまたまこの学校ではいじめはないらしく、この3人は平穏無事に学校生活を送ることができているようだった。


 彼らを批判するつもりはないが、これだけの面子を一つの班に収めている先生はどう考えても私をいじめにかかっているとしか思えない。ある意味、私に対する宣戦布告か、すでにいじめを開始しているとしか思えない。


 私がおとなしく優等生を演じているからか。私一人にクラスの問題児を押し付けたとしか思えない。それに加えて、あえて、女の周りに親しい仲間を配置する辺りもあからさますぎる。


 さらに言ってしまえば、私以外の児童をクラスの恥としてさらすつもりがあるとしか思えない。もし、私が無能な彼らのようなふりをしたら、この班は、どう考えてもクラスの笑いものになる未来しか見えない。


 

 彼ら三人をいじめていると訴えることも可能なすごい席替えをしたものである。ただし今回はクラスの恥になることはない。私がいる限り、そんなことはおこらない。いや、そんな事態は絶対におこすつもりはない。


 

 担任には、私がいかに優秀な人物か、いかに敵に回すべきではない人物かわからせる必要がある。


 私は珍しく、頭に来ていた。いくら私が優しくてもこれはない。こんないかにもな席替えをして許せるはずもない。席替えによって不登校になってしまったクラスメイトも見てきた。席替えは学校生活において大変重要なことだ。


それなのにこんな席に決めた担任もあの女と一緒に復讐することに決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る