第3話 孤独との別れと少女…

薄い雲のカーテンに覆われた光が四方八方に差し込み僕の気持ちを落ち着かせる。

この世界は太陽は沈むことのない。

いくつもいくも年を重ねても太陽とはいつも隣り合わせ。

数多の星も太陽に隠れてまるで存在感がない。

夜になったとしても太陽が紅くなるだけ。

いっそ全部昼でいいじゃんと思ったことも無くはない。

そんないつも通りの日々のいつも通りの夜。

いつも通りの泣き疼く夜…。

「…ぐすん」

泣き疼く僕を慰めてくれるような人はいなく。

1人人気のない路地裏でいつも通りの夜を送っていた。

「君、あばらが出てるよ、ご飯食べてないんじゃない?」

…1人?

「…ぁぁぁ?」

驚きで声が出ない。

目の前にたつ少女は20歳くらいだろうか。

綺麗な顔立ちとショートカットの髪やラフな服装が何処と無く気さくな雰囲気をかもしだす。

「きみは?」

「私?えっとうーんと私は…はるか…遥、お…尾高…尾高遥。ただの冒険者の尾高遥!で…君は?」

少し焦ったように見えたのは気のせいか。

「僕は…僕は…」

声が出ない…

人と話すのなんていつ以来だろう。

しかし精一杯声を出そうとすると。

「ひびくぃって。」

…噛んだ。

…痛い。

痛みを我慢しながら少女を見ると。

「っぶっわっハハハハハハハハハ。」

お腹に手を当てて笑い転げていた。

…恥ずかしい。

でも、少女のその天真爛漫な笑顔を見ると、こちらもだんだんにやけてしまう。

「っ…くっくくくく」

いつ以来だろう、そういえば何年も笑っていなかったな。

その少女は初めてあったはずなのに何処と無く懐かしい感じがした。

「君面白いね、良かったら一緒にご飯でも食べる?奢るよ。」

いつもならばここで病気が発症してしまいきみわるがれて逃げてしまうのだが何故だか、彼女といるからなのか分からないが特に何も起きなかった。

久しぶりに人と話した喜びと彼女の温かさに

「ぐすっ、うっ、うわぁん」

泣きだしてしまった僕に一瞬驚いた彼女だがそっと微笑んで肩に手を添えていつまでも温めてくれた。

元気を失いつつあった太陽がまた輝きを取り戻していった。

するとその翌日、その次の日、またその次の日と遥は来た。

元々人と話すことは嫌いではなく、むしろ好きであった僕はすぐさま遥に好意を向けた。

一人で寂しく泣き疼く日々とはお別れ!そう思っていた。

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