第14話

予定通り、午後4時頃オフィス入りした。


所長が、慌ただしく僕に近寄る。


「急な話だが、来週の月曜から三泊五日で、日本に飛んでもらう」


要人との打ち合わせに合流する直前に、いきなりの所長からの言葉。


「はあ……」


所長は強い口調で言う、


「今日の要人との打ち合わせは、うちの会社と国の機関との合弁事業についてのものだった」

「かとちゃんには、これまでのR&D研修レポートを簡単にまとめ、日本でプレゼンしてきて欲しい」


「何よりの最優先業務だ」


僕は慌てず、穏やかに尋ねる、


「東京ですか?」


「いや長野の山間のホテルだ」

「ホテルに缶詰状態になる」


「そうそう、また、これからかとちゃんには、新規事業の業務も兼務してもらう」


今度は、僕は身構える、


「えっ?新規事業?を、ですか・・・」


「そうだ、これまでのR&D業務に加え、新規事業の業務が増えるという事だ」



午後7時、いったんホームステイ先に帰宅すると、麻友さんからの絵はがき。



こんにちは


コートダジュールの美しさ、そしてモナコの人工海浜、最高でした!

地中海の神の恵み、食べ物も美味しいし。


モナコでは海に入り、パンを少しちぎって与えると、お魚達がお腹や足によってきて、パクパク食べてくすぐったかったり!


これから、いきなり北欧へ飛びます。コペンハーゲンに向かいます(1泊2日)。

チボリ公園ともちろん人魚姫も!

アンデルセンの里オーデンセにも行きます。


それから電車でハンブルクに向かいまーす。

列車ごとフェーリーに乗る不思議体験が楽しみです。いわゆる、渡り鳥ライン!


では!


亀田麻友



求めてもいないのに送られてくる絵はがき。

しかし、麻友さん、すごい行動力。



まきちゃんからは、日本時間の深夜2時送信メール、



まーさ君


『真夏の夜の夢、そちらに伺う云々、考えてたら眠れないよ』

『単純にお互いを求めあおうよ』

『単純に、ねっ』


『そしたら、きっといい事あるよ』


真由美


まきちゃんは穏やか。



しかし、緊急の日本出張……。

新規事業……。


ため息をつく。



確かなことは、僕が日本に行くという事実。

まきちゃんの言う、いい事って、それかな?


ただし、日本では時間が縛られる。

まきちゃんとは会えないだろう……。



国の要人との酒の席も滞りなく終わり、そのまま自然とRuthのBarへ。


大切なこと、”誰かの意見に、耳を傾けて” 。

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